鍼灸師ってどんな仕事?活躍の場は?【現役鍼灸師が解説!】
皆さんは【鍼灸師】をご存じでしょうか?
鍼灸の技術や考え方は素晴らしいものですが、「鍼を刺す」ということから、苦手な人も多いように思います。
この記事では、
鍼灸師って何?
鍼灸師ってどんな仕事?
鍼灸師の活躍する現場
など、【入門編】としてお伝えしていきます!!
目次
- ○ 鍼灸師とは
- ・鍼灸師の業務
- ・どうやって鍼灸師になるの?
- ○ 鍼灸師の活躍
- ・鍼灸院での活躍
- ・病院での活躍
- ・リハビリ・介護施設
- ・美容・エステでの活躍
- ・スポーツの現場での活躍
- ○ 最後に
鍼灸師とは
鍼灸師とは、鍼師と灸師の2つの国家資格を持つ者のことを言います。
実際には、「鍼灸師」というよりも、「鍼師であり、灸師でもある」が正しいです。
昔は「鍼医」なんて呼ばれていた時期もあり、目に障害のある方も多く従事していました。
今では晴眼者の方たちの方が圧倒的に多いです。
「鍼・お灸」と聞くと、「中国が本場でしょ?」と思われがちです。
確かにその通りなんですが、日本の鍼灸は、日本人に合わせて独自の発展を遂げていますので、鍼灸師の立場からすると、日本と中国の鍼灸について、優劣はつけられないというか、比べること自体ナンセンスだと思っております。(('ω')ノ
ただ、日本の鍼灸で使う鍼は中国のものと比べてかなり細いので、痛みはほとんどありません!
日本の鍼灸と、中国の鍼灸の違いについては、別の記事で紹介しますね!
次の項目では、鍼灸師の業務内容について、少し詳しく見ていこうと思います。
鍼灸師の業務
鍼灸師は、鍼師は鍼を用いて、灸師は艾(モグサ)を用いて灸をし、身体に有益な反応・変化をもたらすことで、患者さんの自然治癒力を高めるのが仕事です。
なんだかざっくりしてて分かりづらいな・・・
と感じる人も多いかと思いますが、それこそが鍼灸師の特徴でもあります。
鍼灸といえばよく、「ツボ」を使うイメージがあるかと思います。
「ツボ」は正式には「経穴(ケイケツ)」といい、それぞれの経穴にも効用があります。
しかしながら、全ての鍼灸師が経穴を使うか?というと、そうではありません。
日本の鍼灸は鍼灸師によって、実際に施術する患者によって、一つとして全く同じ施術方法はないのです。
治療の考え方の違い、鍼や灸の道具の違い、施術の仕方の違い、経穴に刺すかそれとも筋肉か・・・細かい部分については別の記事でまとめておりますので、下記のリンクからどうぞ!
東洋医学には「同病異治」「異病同治」という言葉があります。
同じ症状でも異なる方法で治療するし、違う症状でも同じ方法で治療することもあります。
それは、病気を見るのではなく、患者さんという「人」を診るからです。
そうした点で、日本の鍼灸は伝統医療としてその多様性をWHOから認められているのです。
どうやって鍼灸師になるの?
条件は2つです!
①受験資格の獲得
鍼師・灸師の養成課程のある養成施設(専門学校や大学)で3年以上学び、所定科目を履修し、卒業する。
②試験に合格
毎年3月にある厚生労働大臣の行う国家試験に合格する。
※数年ごとに、問題数の増加や、難易度の上昇、履修科目の増加が見受けられる傾向があります。
※合格率は毎年70パーセント前後
お気づきでしょうか?そうです!
「はり師」「きゅう師」の2つの国家資格が必要ですが、ほとんどの養成課程の所定科目が重複しているため、+αの問題を解けば、一度に取得できます。
学校も2つ行って6年通う必要はありません。
鍼灸師の活躍
鍼灸師の活躍の場はかなり広いです!
代表的な場を挙げると、
・鍼灸院
・病院
・リハビリ・介護施設
・美容・エステ
・スポーツトレーナー
などがあります。
それぞれの現場での活躍についてまとめてみました。
鍼灸院での活躍
鍼灸の適応は広く、鍼灸院では緊急性を要するもの以外は、ほとんどの患者さんの訴えに対応できます。
例を挙げると、ホルモンの異常、筋骨格系の異常、自律神経の異常、だるい、疲れなどの不定愁訴、不妊治療、美容鍼灸、便秘、頭痛、吐き気、生理不順、毛髪の悩み、などなど・・・挙げればキリがありません。
開業して鍼灸院を構えると、分野ごとの「専門性」が出てくる傾向もあります。
基本は自費診療になりますが、
・神経痛
・リウマチ
・頚腕症候群(首から肩にかけての痛み)
・五十肩
・腰痛症
・頸椎捻挫後後遺症
は、医師の同意のもと健康保険を使うことができます。
また、特定の鍼灸院に務めるのではなく、訪問鍼灸師として働く方もいます。
病院での活躍
病院にもよりますが、主に現代医学と共に、東洋医学的な側面から他の医療従事者と協力しながら患者さんをケアしていきます。
活躍の場は、痛みの緩和を目的とする緩和ケアや、リハビリテーション、神経内科など様々です。
働きながら様々な症例を見ることができますし、他の医療従事者からもよい刺激を受け、とても勉強になる環境です。
基礎疾患がある患者さんの症状緩和が主な内容になります。
リハビリ・介護施設
2018年から機能訓練指導員の対象とする資格に、鍼灸師も含まれました。
そのため、条件を満たせば機能訓練指導員としての勤務も可能です。
ご高齢者の割合は年々増加しているため、社会的に機能訓練指導員としての活躍は、社会的に必要とされています。
また、5年の実務経験の後に、ケアマネージャーの資格をとって活躍されている方もいます。
美容・エステでの活躍
美容・エステ分野での活躍といえば、やはり美容鍼が代表的と言えるでしょう。
顔に刺す鍼は体に刺す鍼よりもさらに細く、痛みはほとんどありません。
皮下出血のリスクはありますが、技術を磨けば、美容・エステ分野において、鍼灸師にしかできないアプローチも可能となります。
なお、灸師として顔面部への施灸は禁忌となっています。
スポーツの現場での活躍
もともとスポーツをしていて、鍼灸師にお世話になった方もいるのではないでしょうか?
自身の経験あるスポーツの現場に鍼灸師トレーナーとして帯同し、現役の選手をサポートし、選手とともに活躍することができます。
怪我の程度を判断し、選手の試合続行が可能か否か、怪我をした選手のなるべく早い復帰など、迅速な対応を求められます。
また、選手の体調管理も重要な仕事となります。
特に鍼灸はドーピングには当たらないため、選手のケアの方法として好まれる傾向があります。
トレーニングメニューの作成なども行うため、スポーツ特性の理解、
選手の肉体管理も必要です。
最後に
鍼灸師は、プロフェッショナルとして多くのことが求められます。
①患者さんの全身を判断する観察力
②患者さんとのコミュニケーション能力
③患者さんと一緒に良くしていくという協力者としての立場
④決まった施術方法がないため、自分の知識と経験がかなり大切になります。
挙げたものはホンの一部です。
求めれることは多いですが、人から「ありがとうございました。」と、直接感謝されるお仕事です。
AIなどの技術にとってかわることのできない、伝統的なお仕事です。
症状に対して絶対的な施術方法がありません。だからこそ柔軟に対応することが求められ、同時にとてもやりがいを感じます。
このブログを機に、ぜひ鍼灸師に興味を持っていただければと思います。