その痛み、もしかして「痛風」かもしれません
「昨日夜お酒を飲んだ後、歩いていて、おそらく捻って足首を痛めました。今朝も歩けないくらい足が痛いんです。」
実際にこのような患者さんがいらっしゃることがあります。
ですが、よく観察してみると捻挫でも骨折でもなんです。
内科を受診してもらうとやはり「痛風の発作」でした。
もちろん、接骨院の業務範囲外です('ω')ノ
私はなったことがないのですが、捻挫と間違われる患者さんが多く、接骨院に来られる方もいます。
そこで今回は「痛風」について解説していこうと思います!(^_-)-☆
目次
痛風とは
痛風とは、尿酸の代謝異常で起こります。
健康診断で「尿酸値が~」と気にされる方も多いですよね!
高尿酸血症とは、血中の尿酸値が7.0mg/dl以上
痛風とは、血中の尿酸値が8.5mg/dl以上で発症しやすいです。
痛風は尿酸が関節に沈着して関節の炎症を起こした状態です。
30歳代が発症のピークで、男性に圧倒的に多いですが、ごくごくまれに女性もなります。
痛風はプリン体が多い食べ物を摂りすぎることでなるとされていますが、ではそもそもプリン体とは何なのでしょうか?
まずはプリン体と尿酸についてしっかりと知りましょう!
プリン体・尿酸とは
プリン体のお話をする前に、まずはDNAのお話をしなければなりません。
刑事ドラマとかで出てくるDNA捜査のDNAです。
DNAは細胞の核の中に存在します。DNAは遺伝情報であると同時に、いろいろなタンパク質を作る設計図のようなものです。
DNAの正式名称はデオキシリボ核酸といいます。ここでいう「核酸」を作る主成分がプリン体です。
そして、このプリン体が肝臓で代謝されることで、やがて尿酸ができます。
この尿酸が様々な原因で体内に溜まることで、「高尿酸血症」をおこし、やがて痛風が発症します。
痛風の原因
原因①プリン体の摂りすぎ
プリン体の多い食べ物を摂りすぎることで、体内の尿酸値がアップするタイプ。
勘の良い人はプリン体の多い食べ物は容易に想像できますね!
DNAの中にプリン体が多いわけですから、イクラやスジコ、レバーなんてもう大変な量ですよ!
もちろんビールなどのアルコールの中にも多く含まれています。
では、鶏の卵はどうですか?
一つの細胞ですから、プリン体の量は実はかなり少ないんですね!
原因②遺伝性+環境
痛風自体が100%遺伝して発症するわけではありませんが、「発症のしやすさ」は遺伝します。このような要因がもともとあって、肥満や飲酒などの生活習慣によって発症してしまいます。
原因③尿酸が排泄できない
原因は様々ですが、癌や腎臓の障害などで尿酸が排泄できずに発症してしまうタイプ。
実はこれが最も多い原因です。
アルコールの摂取や過剰な運動をするとできる大量の乳酸が尿酸の排泄を妨げます。
ビールはプリン体も含むので、影響力が大きいですね(´Д⊂ヽ
※プリン体の高い食べ物の一覧として、外部リンクを載せておきました。参考にしてください!
痛風の症状
高尿酸血症(尿酸値7.0mg/dl以上)では、症状は起こりません。
簡単に言うと、高尿酸血症が進んで関節炎を起こしたら痛風です。
実際の症状は
・初発の症状のほとんどが夜間に足の親指の付け根に関節炎を発症します。
・関節炎は尿酸が蓄積した場所ならどこでも起きる可能性はあります。
・突然の激痛、発赤、腫れが起きます。足に発症すればひどい捻挫のように歩けなくなる人もいます。
・多くの場合は放置していれば1週間ほどで落ち着くようです。
・慢性期になると「痛風結節」というものが出現します。ここまでくると、関節破壊や腎機能障害、尿管結石などの合併症を起こすこともあります。
痛風の診断基準
1.尿酸結晶が関節液の中に存在する
2.痛風結節があることが証明される
3.以下の項目のうち、6項目以上を満たす
①急性関節炎を過去に2回以上起こしたことがある
②炎症が24時間以内にピークになる
③単関節炎(一か所の関節に症状)
④片側の親指の付け根が痛い、または腫れている
⑤片側の足関節に発作
⑥痛風結節がある
⑦片側のみの腫れ
⑧発作が完全に良くなる
⑨尿酸値の上昇
※痛風に似たものに「偽痛風」というものがあります。
これは尿酸ではなく、ピロリン酸カルシウムと呼ばれるものが原因です。当然、尿酸が原因ではありませんので、血液中の尿酸値も高くありません。男性よりも女性に多く、症状が出やすい場所は膝の関節です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
接骨院の業務範囲外ではありますが、今回は痛風について解説しました。
ここで大事なのは「どうして痛めたか」です。
接骨院では外傷性が明らかな脱臼・骨折・打撲・捻挫・挫傷(肉離れ)でなければ健康保険は使えません。
もともと尿酸値が高い人で、痛めた原因が明確でなく、夜間に突然片方の足が痛むような場合には、病院の内科を受診してくださいね(^_-)-☆
本当に捻挫してしまった際の対処法については下のリンクを参照してください。