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野球で注意したいスポーツ障害【野球肩と野球肘】

野球少年 ピッチング

野球はラグビーやサッカーなどのようなコンタクトスポーツではありませんが、肩や肘を反復して使うために障害の多いスポーツでもあります。

肩、肘、手首をひどく痛めてしまうと、野球の投球が困難になり、時には大好きな野球を諦めなければならないこともあります。


しかし、野球の投球などが原因で起こる障害は、投球の制限やケア、トレーニングの方法などで十分対策ができます。

この記事ではそんな野球で発生しやすい肩や肘のスポーツ障害について詳しく解説していきます!(^_-)-☆

目次

野球肩 (投球肩障害)

肩を痛めた骨模型

スポーツ時の怪我や疾患をまとめて「スポーツ傷害」といいます。

スポーツ傷害は下記の二つに分かれます。

スポーツ外傷


スポーツ時におきた怪我のこと。スポーツの各種目の特徴から発生する怪我に差があります。

スポーツ障害


繰り返しの負担や使い過ぎ(オーバーユーズ)によって発生します。本記事で取り扱うのはこちら。

「投球肩障害」とも呼ばれるスポーツ障害です。

投球フォームは構えから投げ終えるまで
・ワインドアップ期
・コッキング期
・加速期
・減速期
・フォロースルー期
の5つに分類されています。

野球肩は時期ごとに負担がかかる場所・組織が異なりますので、次の項からはそれぞれ詳しく解説していきます。(^_-)-☆

肩関節インピンジメント@コッキング期

投球 コッキング期

野球肩は「インピンジメント症候群」の一つです。
インピンジメントとは「衝突する」という意味です。

肩関節は肩甲骨の浅い窪みに、上腕骨の大きな骨頭が関節しています。
そのため、筋肉や軟骨、靭帯がそれを補強する構造となっています。

上の写真のような「コッキング期」には肩関節でそういった組織の衝突・摩擦が起こり、発症します。

具体的には
①腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の損傷・断裂
②滑液包や関節唇などの軟部組織損傷
などを起こします。

①の腱板断裂は若者にはあまり起こらず、むしろ40歳以上の男性に起こりやすいですが、断裂してしまうと腱板縫合の手術が必要になるでしょう。

腕を真横に挙げた際、60°~120°の範囲で腕が痛みのために挙がらない「有痛弧徴候」もインピジメントや腱板損傷の特徴です。


②の関節唇は、大きな上腕骨の骨頭がはまる、肩甲骨の浅いくぼみを補うための軟骨です。
インピンジメントや上腕二頭筋(力こぶ)の繰り返しの牽引力によってここの上方を損傷した場合、「SLAP損傷(上方関節唇損傷)」と呼ばれます。

コッキング期に痛みが出やすいですが、フォロースルー期に出ることもあります。

一般的には2~3か月の保存療法となりますが、関節の縁にある関節唇がバケツの取っ手のようになってしまうと、手術が適応となります。

日常生活に支障をきたしたり、野球生命のことを考えて内視鏡による手術を選択する場合も多いです。

後方関節唇損傷・ベネット損傷@フォロースルー期

少年 野球 ピッチング 

上の写真のような投げ終わりの時期を「フォロースルー期」と呼びます。

フォロースルー期には肩関節の後方が強く引っ張られます。

その結果起きるものは
①後方関節唇損傷
②関節後方に骨棘を形成

①は先ほどコッキング期に起こるSLAP損傷の後方バージョンです。


②肩甲骨のくぼみの後下方に上腕三頭筋(二の腕)の牽引力がフォロースルー期に繰り返し加わり、そこの部分の骨膜が刺激されて骨棘が形成されます。
これを「ベネット損傷」と呼びます。

痛み自体はフォロースルー期に出やすいですが、コッキング期にに肩関節の後方に出現することもあります。

運動を中止し、保存療法が中心となりますが、改善しないときは医師に相談しましょう。

骨端線離開(リトルリーガーズ・ショルダー)

肩が痛む木の模型

成長期の10~15歳頃に投球を過度にしすぎると、上腕骨の近位の成長軟骨版(骨端線)が離開してしまいます。軽度であれば投球数を制限、あるいは休むことで症状が改善しますが、骨端線離開となった場合は「骨折(疲労骨折)」として扱います。

小学生の高学年から中学生の野球少年が肩の痛みを強く訴えた場合はまず注意が必要です。

骨折かどうか見分けるポイントについては下記のリンクを参考にしてください(^_-)-☆

野球肘

肘を痛めた男性

野球肘は痛める場所によって
・内側型
・外側型
・後方型
に分類されています。


大部分は内側型、注意が必要なのは外側型
です。

次の項で詳しく見ていきましょう!!

※手のひらを天井に向けて、親指側が外側、小指側が内側になります。

内側型

野球肘の大部分がこの内側型です。

投球する際、コッキング期から加速期にかけて肘の内側に付く筋肉(回内筋群、屈筋群)が強く働きます。また、肘の内側にある内側側副靭帯に牽引力がかかるため、肘の上腕骨の内側上顆という骨の部位に負担がかかります。

この結果内側型では
・上腕骨内側上顆炎
・上腕骨内側上顆裂離骨折
・内側側副靭帯損傷
などを起こします。

内側型でも野球肩のように骨端線離開を起こすこともありますし、大人になってから遅れて小指側のしびれが現れることもあります(遅発性尺骨神経麻痺)。



外側型

加速期からフォロースルー期にかけて肘の外側に圧迫力が加わって発生します。

肘関節の上腕骨小頭と呼ばれる場所に、「離断性骨軟骨炎」を生じます。
離断性骨軟骨炎とは、関節の軟骨が壊死を起こし、離断された軟骨は関節遊離体(通称:関節ネズミ)
となります。

関節ネズミは関節に挟まり、「ロッキング」を起こして肘が動かなくなることもあります。

治療に長期間を要しても改善が見られない場合は、野球は断念せざるをえないでしょう。

初期では半年~一年の投球制限で改善することが多いですが、程度によっては手術になることもあります。痛みは比較的早く取れますが、投球制限はそれよりも長期に及ぶため、痛みがなくなったからと言って投球を開始することは悪化を招くので絶対にやめましょう!

後方型

フォロースルー期に肘頭に上腕三頭筋の牽引力が加わり、肘頭と肘頭窩(肘頭の入る上腕骨のくぼみ)で衝突が起こることで発生します。

肘頭の成長軟骨板がある骨端線の閉鎖が遅れたり、肘頭の疲労骨折や骨棘の形成が見られます。

治療と予防

腕組する男性

治療は基本的には運動を制限・中断して安静を保ちます。
程度がひどいものは手術も選択肢に入ります。

ですので、スポーツ障害は予防が大切になります。

【投球制限】
投球制限を必ず順守しましょう!

・小学生 50球/日、200球/週以下
・中学生 70球/日、350球/週以下
・高校生 100球/日、500球/週以下

普段から筋力増強・ストレッチ・ウォーミングアップ・アイシング・フォームのチェックは心がけましょう!

最後に

人差し指を立てる男性

いかがでしたでしょうか?

今回は野球で注意すべきスポーツ障害についてまとめました。
今回書いたのは野球肩・野球肘と呼ばれますが、野球だけでなく肩・肘を使う様々なスポーツでも見られます。

もし運動の痛みでお悩みの方は当院にご相談ください!

その他のスポーツ障害については下記のリンクを参考にしてください(^_-)-☆

それでは、しっかりと予防とケアに努めて、良い野球生活を送ってください!

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