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鍼灸の鎮痛には即効性がある?【理由・解説】

鍼 道具

皆さんは鍼灸治療を受けたことがありますか?

鍼灸を受けて感動する方は、
「ぎっくり腰をしたけど、痛みが一回でとれた!」「寝違えたけど、動かせるようになった!」
といった経験をしたことがある方です。

なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
気の流れといった東洋医学の考えではなく、西洋医学の考えから、そのヒミツを解説していきます。

鍼灸に興味のある方、今現在強い痛みでお困りの方必見ですよ!(^_-)-☆

目次

鍼鎮痛(鍼麻酔)

経穴模型

鍼麻酔は肘より先、膝より先の部位に鍼を刺入し、鍼を介して低周波電流(2~15Hz)を通電します。手術を行う部位の近くには100Hz前後の低周波電流を用います。そうすることで麻酔と同等の鎮痛効果が得れれるものとして1960年代に中国で試みられました。


1971年、アメリカの有名な新聞社であるニューヨークタイムズ紙の記者、ジェームズ・レストンさんが中国を取材で訪れました。その際に、北京で急性の虫垂炎(俗にいう盲腸)を患いました。手術自体は通常の麻酔で行ったのですが、その後出た痛みに対して鍼治療を受け、痛みがなくなる経験をしました。


そのような中国での経験をレストン記者はニューヨークタイムズ紙に載せたところ、大きな反響が起こり、「鍼麻酔」は世界的に注目されるようになりました。


その翌年、1971年に当時のアメリカ大統領であるニクソン大統領が中国を訪れた際、同行した主治医が鍼麻酔を目の当たりにしたことをきっかけに、鍼の研究が行われ始めました。

当時のレストン記者の話や体験は下の外部リンクにより詳しく書いてありますので、気になる方は、参考までにご覧ください。

鍼鎮痛(鍼麻酔)の方法

鍼 手元

場所:肘より末端、あるいは膝より末端(ツボは関係なし)
強度:響き感、筋肉の収縮が起こる程度の強めの刺激
時間:10~20分
周波数:1Hz前後の低周波電流を鍼を介して通電
鍼の太さ:比較的太め

「こんな方法で本当に麻酔になるの??」と疑問に思いますよね?
結論から言うと、麻酔にはなりません。

鍼麻酔は麻酔ではなく、無痛でもありません。あくまで痛みを和らげる方法のため、「鍼鎮痛」が正しいです。

また、個人差が存在しますので、鎮痛の効果は一定ではありません。

ですが、実際に鍼鎮痛(鍼麻酔)を用いて手術を行った例も多数あります。
鍼麻酔の実験について気になる方は下の外部リンクを見てみてください!

鍼鎮痛(鍼麻酔)の原理

脳 神経

では、なぜ鍼の鎮痛効果が出現するのでしょうか?

現在考えられているのは、「内因性鎮痛物質」と呼ばれるものが関与していると考えられます。

具体的には、モルヒネと同様の鎮痛効果を持つモルヒネ様物質(内因性オピオイド)です。
鍼を先ほどの方法で行うと、脳や脊髄にあるβ-エンドルフィン、(メチオニン/ロイシン)エンケファリン、ダイノルフィンといった内因性オピオイドが、神経の伝導と伝達を抑制することで痛みを抑制します。
モルヒネの拮抗薬である「ナロキソン」を投与すると、鍼鎮痛が起こらないことから、この内因性オピオイド(内因性鎮痛物質)が鍼鎮痛に深く関与していると思われます。

その他の鎮痛機序

赤血球

鍼鎮痛について大体わかりましたか?

実は鍼の鎮痛効果はそれだけでなく、他にも鍼を刺した局所においても鎮痛が起こります。

この項では、その鎮痛機序について触れていきます。

広汎性侵害抑制調節/広範囲侵害抑制性調節/DNIC

Le Barsが1979年に報告したもので、簡単に言うと、「痛みをもって痛みを制す」です。元の痛みを抑えるために、他の痛みを加える方法です。

鍼鎮痛は効果が現れるのに10~30分の潜伏時間が必要ですが、このDNICは即効性がかなり高いです。鍼を刺して響き感を感じた瞬間から鎮痛効果が現れますが、持続性はほとんどありません。

鍼鎮痛は四肢末端への刺激ですが、DNICは体のどこに刺激を加えても効果が現れます。

これも鍼鎮痛と同様に、内因性鎮痛物質が関与していると考えられています。

痛めた局所に起こる鎮痛

【免疫細胞による鎮痛】



炎症があるところには、オピオイドを含んだ免疫細胞があります。ここを鍼やお灸によって免疫細胞を刺激し、免疫細胞にオピオイドを放出させることで、痛めた局所の鎮痛がされます。

これはあくまで組織が損傷を起こしたり、炎症を起こした個所にのみ見られます。

【アデノシンによる鎮痛】



鍼や灸の刺激によって組織の損傷が起こると、細胞にあるアデノシン三リン酸(ATP)が外に漏れ、アデノシンになります。このアデノシンが受容体に作用することで、鎮痛効果が現れます。

ストレス鎮痛

1976年に、Huda Akilら、Hayes RLら、Rosecrans JAによってそれぞれ報告されました。

ストレスや感情によって、痛みが感じづらくなる現象です。
よく、ボクシングなどで目を腫らしたり、流血したりしますが、痛みはほとんど感じません。

ストレスや感情によって交感神経が興奮すると、アドレナリンや抗炎症作用が強いコルチゾール、内因性鎮痛物質であるβ-エンドルフィンが分泌され、痛みが抑制されます。

長期的なストレスは痛みを助長しますが、短期的なストレスは痛みを抑制します。鍼灸刺激もあくまで刺激療法なので、体には短期的なストレスであるため、鎮痛作用があるわけです。

その他の痛みの抑制に関しては下の外部リンクに詳しい内容が書かれていますので、ぜひ参考にしてください。(少し難しいかも?)

最後に

患者を励ます理学療法士

いかがでしたでしょうか?

今回は鍼灸の鎮痛について解説しました。
「気とか、怪しくて信用できない」といった方にも、少しは不安の解消になったら幸いです!

痛みを抱えている方は鍼灸治療をぜひ試してみてください!(^_-)-☆

その他の鍼灸の効果について気になる方、痛いか不安な方は、別な記事にまとめてありますので、下のリンクの記事をご覧ください('ω')ノ

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