筋肉痛かと思ったら肉離れだった!?「筋肉の痛み」について解説!

皆さんは筋肉を痛めたことはありますか?
筋肉痛や肉離れ、打撲、筋の過労による炎症などです。
筋肉の痛みは“体性痛”とも呼ばれ、痛みの場所がわかりづらいことが多いため、自分で筋の損傷の程度を判断するのが難しいです。
当院でも、筋肉痛だと思って放置していたら痛みが取れず、肉離れを起こしていた患者さんもよくいらっしゃいます。
この記事では、
・筋肉を痛めてしまう原因
・筋肉を痛めた際の程度・症状
・筋肉の損傷の様々な分類
・筋肉の治り方
・当院での処置の方法など
について解説していきます。
筋肉の痛みを甘く見ていると、痛みが長引くだけでなく、元通りのパフォーマンスができなくなる場合もあります。
筋の損傷=筋肉痛ではありませんので、注意しましょうね(^_-)-☆
目次
- ○ 筋損傷の原因①急性/亜急性
- ○ 筋損傷の原因②直達/介達外力
- ○ 筋損傷の程度
- ○ 筋損傷の治り方
- ○ 筋肉の損傷を疑ったら
- ○ 当院での処置の方法
- ○ 最後に
筋損傷の原因①急性/亜急性
筋肉の損傷の原因は大きく、急性と亜急性に分類されます。
※亜急性の場合には「多発性筋炎」のように病気が原因で筋肉の炎症を起こすものもあるので注意が必要です。
急性でも亜急性でも、筋の強度を筋自体の収縮力や負担が上回った際に損傷してしまいます。特に「遠心性収縮」時に痛めることが多いです。「遠心性収縮」とは、筋が収縮しているのにも関わらず、負荷が大きいために筋が収縮しながらも伸びてしまう収縮様式のことです。負荷と筋の収縮力が綱引きのような状態になってしまい、筋損傷を起こしてしまいます。
筋損傷の原因②直達/介達外力
直達外力とは、負荷や力が局所的にかかるものです。
介達外力とは、負荷や力が離れた場所から伝わるものです。
筋損傷の程度
筋損傷の程度を表す分類は様々ありますが、個人的に私が臨床的に考える分類を記載します。
【Ⅰ度】
筋繊維の断裂は無く、陥凹も触知されない。筋力の低下や可動域の制限はわずかで、圧痛(局所を押しての痛み)やストレッチ時の痛み、筋肉の収縮に抵抗を加えた際の痛みが出るが、機能の低下は少ない。いわゆる、「軽い肉離れ」や「軽い打撲」の状態。Ⅰ度損傷は筋肉痛と間違われ、放置されやすいです。単なる筋肉痛だと自己判断して運動を続けた結果、Ⅱ度・Ⅲ度と悪化してしまうこともあります。筋肉痛については過去の記事をご覧ください!
こちらからどうぞ:筋肉痛と筋トレのお話【解説・対処法】
【Ⅱ度】
筋繊維の部分的な断裂があり、陥凹も触知できる。筋力の低下や可動域の制限があり、圧痛やストレッチ時の痛みのほかに、無抵抗での筋の収縮時痛みが見れらる。局所の熱感や腫れも確認できる。いわゆる「肉離れ」「打撲」の状態。【Ⅲ度】
筋繊維が完全に断裂しているもの。陥凹は触知だけでなく目で見てわかるものもある。熱感や腫れも強く、時間を置いて損傷局所やその下部に皮下出血が見られることもある(痛めた筋繊維の深さによっては確認できないこともある)。圧痛やストレッチ時の痛みはとても強く、筋の収縮は不能となる。いわゆる「筋断裂」の状態。先ほども直達外力と介達外力の分類で記述しましたが、一般的には筋肉が伸ばされたりした際には肉離れ、ぶつけたりしたら打撲、筋挫傷とされがちです。しかし、実際にはそう単純には言い切れません。「ボールが当たってあざが出たから打撲」と安易に判断するのではなく、実際には「どこが」「どのようにして」「どのくらいの症状か」ということが大事です。
筋損傷の治り方
損傷した筋繊維は、白血球の好中球やマクロファージといった細胞によってその部分を食べます。その後、筋繊維間にある線維芽細胞という、いわゆるコラーゲンの元の細胞が“隙間”を埋めます。これに伴い、血管が新生し、損傷局所の再生が進みます。
再生過程では、分化せずに残った筋繊維の元である筋芽細胞が活躍します。この筋芽細胞は別名、衛星細胞やサテライト細胞とも呼ばれ、普段は活性化していません。しかし、筋繊維の損傷や男性ホルモンのテストステロンなどの影響で活性化し、サテライト細胞は増殖・融合し、損傷部に新たに筋繊維ができます。ここに最終的に神経の再支配が起こり、再生が終了します。
ここで注意したいのが、“再生がうまくいかなかったら”ということです。筋繊維(骨格筋)の再生速度は身体の他の細胞や組織の中では比較的遅く、きちんと処置をしなければ、損傷個所がきちんと筋繊維に再生されない場合もあります。その場合、筋繊維ではなく、弾力性や機能性の異なった「瘢痕組織」と呼ばれる部分が筋の中にできてしまったり、損傷時の血腫が原因でそこが骨化してしまう「骨化性筋炎」を起こすことがあります。
※筋肉痛と筋損傷はイコールではありません。筋肉痛の原因はいまだ不明で、「超回復理論」も科学的な根拠は未だありませんので、筋肉痛の回復が上記と同様とは言い切れません。ここでの過程はあくまで“筋損傷”における再生の機序です。
筋肉の損傷を疑ったら
もし万が一筋肉を痛めてしまったと思ったら、「RICE処置」を実施してください。
専門家に診てもらうまで、このRICE処置をし続けてください!
当院での処置の方法
当院では、受傷した動作や原因を詳しく聞き、運動しているのであればその内容から普段の負担のかかり方を調べます。痛みがあることで困る日常生活の動作や、選手であれば次の試合がいつで、それが選手にとってどのくらい大切な試合なのかを聞き、ともにゴールを設定します。
また、損傷個所以外に全身の状態を調べ、局所の痛み意外に気になる症状がないかを確認します。痛め方によっては、筋肉の損傷と複合して捻挫や打撲などを起こすこともあるので、損傷部付近の状態も確認します。特に問題が無ければ徒手検査やエコー検査を行い、筋肉の状態を判断します。
Ⅰ度損傷、Ⅱ度損傷の場合は圧迫固定をし、下肢の筋損傷を起こした際には程度によっては松葉づえをお貸しします。日常生活での注意点やアイシングなどのケアの方法を指導します。運動選手であれば運動はⅠ度損傷であっても一時中止が望ましいです。どうしても参加したい大会の場合、ご本人と話し合い、悪化や再負傷の危険性などのリスクを確認したうえでテーピングを行います。急性期の痛みの場合や、亜急性であっても痛みが強い時期は物理療法が中心ですが、状態の回復に従い、運動やストレッチの指導を行います。
運動選手の場合、痛みや可動域の制限がなく、筋力や柔軟性が十分に保たれればスポーツへの復帰も可能です。
あくまで目安ですが、筋肉の損傷が治るまでにはⅠ度損傷であれば1~2週間、Ⅱ度損傷であれば1~2か月、筋損傷の完全断裂を起こしているⅢ度の場合には重度の損傷の場合には手術の適応となることもあるので、その際は医師へ紹介状という形で病院への受診をすすめます。
当院では患者さんとの「話し合い」を重視し、共にゴールを設定し、共に協力し合い怪我の回復を目指します。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は筋肉の損傷について解説しました!
特に初めての肉離れは単なる筋肉痛と間違われ、放置した結果悪化してしまっていることが多いです。
たかが筋肉の痛み、されど筋肉の痛みです。
自己判断せずに、痛みを感じたらすぐに接骨院や整形外科を受診してください!!
筋損傷をよく起こす部位に「太もも」があります。
太ももに起きる肉離れについては別な記事で解説しておりますので、そちらを参考にしてみてください!