足首の捻挫を甘く見ないで下さい!最も多い外くるぶしの捻挫についてと、応急処置の方法
誰しも一度は経験のある足首の捻挫ですが、決して甘く見てはいけません!
正しい処置をしないと何度も捻挫を繰り返したり、さらなる大けがに繋がることもあります。
特に学生時代の捻挫はのちのスポーツ活動に影響が出る可能性があります。
この記事では特に最も多い捻挫である「外側側副靭帯損傷」について
・足首の捻挫の起こり方
・応急処置の仕方
・治療法
などについて解説していきます!
たかが捻挫、されど捻挫です!もしもの時に備えて、ぜひ一読してください(^_-)-☆
目次
足首の捻挫
捻挫とは、「関節に過度な力が加わり、関節の許容範囲を超えた過度の関節運動で起こる怪我を言い、レントゲンで異常が見られないもの」です。つまり、「レントゲンを撮ってわかる骨折や脱臼以外で、捻ったことで起きる怪我」とも言えます。
捻ったことで靭帯などの足首周囲の組織を損傷しますが、その損傷個所によって名称が異なります。ですので、一言で「足首の捻挫」といっても、実は多くの種類があります。
・外側側副靭帯損傷
・内側側副靭帯損傷
・遠位脛腓靭帯損傷
・二分靭帯損傷
・ショパール関節損傷
・リスフラン関節損傷
等々
今回ピックアップするのは足首の捻挫で最も多い
【外側側副靭帯損傷】
についてです。
外側側副靭帯損傷
外側側副靭帯とは
外側側副靭帯は文字通り足首の外側にある靭帯ですが、部位によって名称が異なります。
前:前距腓靭帯(ゼンキョヒジンタイ)
横:踵腓靭帯(ショウヒジンタイ)
後:後距腓靭帯(コウキョヒジンタイ)
三本の靭帯のうち、前距腓靭帯が最も弱く、最も損傷を受けます。その次に踵腓靭帯、後距腓靭帯の順に損傷を受けます。もちろん、足首にかかる力が強ければ3本とも痛めることもありますし、骨折や脱臼を伴うこともあります。
前距腓靭帯は足首の内がえし(つま先が内側に入るような捻り方)を抑制し、足の前方への移動を抑えています。そのため、前距腓靭帯をひどく損傷すると足関節の動揺性と、前方への引き出し現象、いわゆる“ゆるみ”が出ます。
痛める原因
足関節を内側に捻る(内がえし)ことで発生します。
先ほど説明した外側側副靭帯はバスケットボールやバレーボール、サッカーなどのスポーツ時に痛めることが多いです。
一度に足首をくじいてひどく痛める場合もあれば、軽微な弱い力が繰り返し加わって靭帯を痛める場合もあります。通常の歩行においても足首にはすべての動作の中で常に靭帯にストレスが加わっています。
慣れない靴や、不適合な靴を履くことも痛めるリスクとなります。
また、もともと足にアーチの乱れがある場合にも痛めるリスクは高まります。
足のアーチに関しては下のリンクをご覧ください。
症状
歩行時の外くるぶし(外果)の痛みや、腫れ、熱感が見られます。腫れの程度と痛みが必ずしも一致するとは限りません。
痛めてから数日後に皮下出血が見られることがあります。この皮下出血は痛みを訴える場所より下に現れます。歩行時の遠心力や重力で踵や小指のあたりに出ます。
強く捻ってしまった場合には関節部の軟骨損傷や、内くるぶしの下で骨同士が衝突を起こし、痛みを訴える場合もあります。
靭帯が完全に断裂を起こすほどの力の場合、靭帯の付着部の剥離骨折や、足関節の脱臼を起こす場合もあります。
足関節の捻挫と間違われやすいものに、「骨折」と「痛風」がありますので、こちらも併せてご確認ください!
応急処置の仕方
【RICE処置】
R :Rest (安静)
I :Ice (冷却)
C :Compression (圧迫)
E :Elevation (挙上)
Rest (安静):受傷個所を安静に保ち、動かすことによる悪化を防ぎます。
Ice (冷却):冷却することで、受傷個所の血液循環を下げ、内出血や腫れを防ぎます。また、冷やすことで痛み自体も和らぎます。
Compression(圧迫):受傷個所を圧迫し、内出血や腫れを防ぎます。
Elevation(挙上):心臓より高い位置に受傷個所を挙上し、血液循環を抑え、内出血や腫れを防ぎます。
【手順】
①安静にする(Rest)、受傷部位を挙上する(Elevation)
②アイスパックを作る(氷嚢でもOK)
ビニール袋の中に、なるべく製氷された氷を半分ほど入れ、凹凸がないように平らにします。
袋の口から袋の中の空気を吸いだしながら、袋の口を縛って完成です。
氷が用意できなかったら、熱さまシートでも良いです。
保冷材は形が受傷部位に当たってむしろ痛くなる可能性があります。
③アイスパックを受傷個所に当てる(Ice)
④圧迫を加えながらアイスパックを固定する(Compression)
包帯が無ければ、タオルやラップなどでも構いません。
専門医に診てもらうまで、このRICE処置をし続けます。
細かい注意事項などは下のリンクを参考にしてください(^_-)-☆
治療法
膝の痛みの検査であるワトソンジョーンズテストで有名なワトソンジョーンズは、“足関節の捻挫は骨折よりも悪い”と言っています。足関節に限らず、捻挫は軽視されがちで動けてしまう分、その分骨折よりも長くかかることが多いからです。
上で示した「足関節の靭帯損傷の分類」の急性Ⅰ度、Ⅱ度の場合、当院では局所のアイシングの後に固定し、松葉づえの貸し出しを行います。スポーツ活動は一時休むのをお勧めします。
どの程度の捻挫を起こしているかによりますが、Ⅱ度以上では2~3週間以上の固定が必要となります。
「捻挫でそこまでするのか」と思われがちですが、先ほども話したように、捻挫を軽視して固定もせず、荷重し続ける方が長引いてしまいます。
もちろん、長期の固定や非荷重は足の機能低下を起こしますので、当院では患部を細かくチェックし、固定は少しずつ減らしていきます。
固定を軽くする=負担が増えるので、固定を軽くしても練習量には注意が必要です。
Ⅲ度の完全な靭帯の断裂を起こした場合や、骨折・脱臼を起こしている場合には整形外科への紹介を行います。
また、固定を外した後も不安定性が強い場合や、若者で活動性が高い場合には、手術が行われることもあります。
治癒の過程
治癒の過程を患者さんが理解しているかどうかが、捻挫の治りやすさやその後のスポーツ活動に影響します。
靭帯損傷に限らずですが、損傷した組織には白血球の好中球やマクロファージが集まり、ボロボロになった部分を食べてくれます。隙間の部分に線維芽細胞、いわゆるコラーゲンのもとの細胞がその部分を埋めます。この段階になると痛みはだいぶ落ち着き、スポーツマンは運動に復帰したくなります。注意したいのは、この部分はまだ“靭帯に再生していない”ということです。
痛みが無くなる=靭帯の機能回復ではありません。
痛みが無くなるのにかかる時間より、機能回復には遥かに長い時間がかかります。
足首のサポーターやリハビリは痛みが無くなってもしばらくは続けた方が良いです。
固定を外した後、スポーツ時にはサポーターやテーピング固定などを3か月~6か月程は行った方が良いです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は足首の捻挫の「外側側副靭帯損傷」について解説しました。
同じように足を捻っても、外側側副靭帯を損傷するとは限りません。そのほかの靭帯を損傷する可能性は大いにあります。また、複数の靭帯損傷や関節の軟骨損傷、骨折や脱臼も同時に起こすことがあります。
自己判断はせずに、まずは痛めたらRICE処置をしてお近くの接骨院や整形外科をすぐに受診してください。(^_-)-☆