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先天性股関節脱臼・発育性股関節脱臼【赤ちゃんいる方要注意】

赤ちゃんを抱っこする女性

皆さんは先天性股関節脱臼、あるいは発育性股関節脱臼という言葉を耳にしたことがありますか?

特に女の子の赤ちゃんや幼いお子さんをお持ちの方は聞いたことがあるかもしれません。

早期に発見、整復できればその後の経過は良好です!

しかしながら、1歳半を過ぎてからの発見や、両側に起きた場合や男児の場合はその後の経過があまりよくありませんし、後遺症が残る場合もあります。

そのため、なるべく早い発見が必要です!!

今回はそんな先天性股関節脱臼・発育性股関節脱臼について解説していきます!

赤ちゃんがいる、生まれるという方は読んでおいて損はありませんよ!!(^_-)-☆

目次

先天性/発育性股関節脱臼とは

股関節 骨模型

上の写真をご覧ください。これが股関節です。球関節と呼ばれ、多軸に動かすことができます。

股関節は骨盤を構成する寛骨にある「寛骨臼」というくぼみに、太ももの骨の「大腿骨頭」がはまり込んでできる関節です。

もともと外れやすそうな見た目をしていますし、ここに垂直に体重がかかり、運動するわけですから、不安な感じはしますよね。(-.-)

ですが、そこは軟骨や強力な靭帯、筋肉で固定されており、無理やり特定の関節の動かし方をしない限り、大人では外れません。

では、先天性に、または発育性に股関節が脱臼してしまうのはなぜでしょうか?

股関節がイメージ出来たところで、先天性股関節脱臼、発育性股関節脱臼について解説していきます!!

先天性/発育性股関節脱臼

泣いている赤ちゃん

先天性、発育性股関節脱臼とは、出生前、あるいは出生時・出生後に、大腿骨頭が関節を覆っている袋の中で脱臼してしまっている状態です。

男児よりも女児に圧倒的に多く発生します。(1:5~9)


先天的な要因であれば、先天性股関節脱臼ですし、発育過程の問題で生じれば発育性股関節脱臼となるわけですが、実は原因の解明には至っておりません。(._.)

①家族内での発生頻度が高いことから、遺伝的な要因が関与
②子宮内での胎児の異常肢位
③出産時の骨盤位の問題
④出産後の股関節や膝関節を伸ばした状態の保持
⑤出産近くに母親から分泌される、関節を緩めるホルモンの影響
など多くの原因が考えられます。

そのため、実はこの疾患には出生前後の股関節の脱臼はもちろん、完全な脱臼に至らないもの、寛骨臼(くぼみ)の形成不全、将来脱臼する可能性のある関節の状態をすべて含めます。

症状と見極め【ここ大事!】

寝る赤ちゃん

赤ちゃんは言葉で説明することができません!

そのため、健診で先生から指摘をされて気が付く場合もあります。
なるべく早く発見するためにも、以下の症状が見られた場合は注意が必要です。


①下肢(股関節から下)の位置異状
両膝、両股関節を90°曲げて股関節をを大きく外側へ開きます。その際に太ももの外側がベッドに抵抗感なくつけば問題ありません。途中で抵抗感を感じたり、左右の脚の動きに差が出た場合は脱臼している可能性があります。
無理に足を開くことは決してしないでください。



②クリック音
股関節を曲げて開くと、軽く「コクッ」というような「クリック音」を感じることができます。音としてはっきり聞こえるものではないので注意が必要です。



③下肢の短縮 (アリス徴候)
仰向けで寝かせて膝を曲げます。両方の下肢をそろえると、脱臼している側の膝が低く見えます。

④大腿内側皮膚溝の非対称
仰向けで寝かせ、脚を伸ばしてまっすぐにします。
脱臼している側の太ももの内側の皮膚のしわ(溝)が脱臼してない側よりも数が多く、深く、長いです。

⑤寛骨臼の空虚
冒頭でも説明したように、股関節のくぼみを寛骨臼といいます。
本来であれば、この寛骨臼に大腿骨頭がはまっているわけですが、脱臼側ではそれが触れません。
確認方法は、脱臼してない側では、鼠径部の下を指でゆっくり優しく押すと大腿骨頭の骨の硬さが確認できます。脱臼側ではそれが確認できません。

⑥歩き始めの遅延 
通常は10~12か月ほどで歩き始めますが、脱臼していると歩き始めが遅くなります。

⑦歩けるころで症状が出た場合は、歩いた際に脱臼している側の足を引きずって歩きます。

⑧顔の向き
片側を脱臼していると、脱臼側と反対の方向を向いています。

以上のいずれかの症状が確認できた場合には、整形外科の受診をお勧めします。

検査法・治療法

MRI検査

上記で説明した症状を確認する以外にも、様々な検査法があります。

たとえば、オルトラーニ法や、バーローテストです。
しかし、これら検査法は専門の知識を持った者に任せてください。

また、基本は整形外科での検査、診断が必要です。
例えば
・単純X線写真
・関節造影による関節内外の状態把握
・MRI
・エコー
などの検査が一般的です。

治療法としては下記のようなものがあります。
①新生児ならおむつのつけ方や抱き方に注意して経過観察
②パブリックハーネスというバンドを使った整復(パブリック法)
③牽引法による整復
④手技による徒手整復
⑤手術をしてから整復(脱臼の整復を邪魔するものがある場合)

また、脱臼整復後の姿勢保持ができるかできないか、関節の弛緩性が強いか、弱いかなどによってさまざまな装具や固定を選択します。

関節のくぼみである寛骨臼の形成が不完全な場合、手術が行われることが多いです。

治療後・経過

冒頭でも書きましたが、できるだけ早く早期に発見、整復、治療ができるほどその後の経過は良好です。

1歳半を過ぎてからの発見や、両側に脱臼を起こした場合、男児に起きた場合はその後の経過が良くありません。

具体的には、大腿骨頭が変形してしまったり、不完全な脱臼のままになってしまったり、変形性の関節症を患ってしまうなどです。

いずれにしても、早期に発見できればそれに越したことはありません( `ー´)ノ

脱臼を起こさないためにできること

患者を励ます理学療法士

発育性の股関節脱臼は「股関節の動きを固定」することが特に良くないとされています。

具体的には、
①足をのばしたまま抱っこ
②股関節を外から押さえながらの抱っこ
③股の間に手を入れる抱っこ
④おむつやカバーを股関節ごと巻いてしまう
などです。

普段から気を付けることで発育性股関節脱臼の発症頻度は下がります。
逆を言うと、普段からこういったことに気を付けなければならないということですね!

最後に

エプロン姿の女性と赤ちゃん

いかがでしたでしょうか?

今回は先天性股関節脱臼・発育性股関節脱臼についてまとめました。

症状の中には足を開くなど、簡単にできる方法もありますので、普段から良く観察することが大切ですね(^_-)-☆

また、3歳頃から発症する股関節の疾患として「ペルテス病」という股関節の病気がありますので、こちらもリンクを貼っておきましたので、参考までにぜひご覧ください。



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