お灸の効果【熱い?熱くない?】
皆さんはお灸を受けたことがありますか?
注意したり、相手をこらしめる言葉に「灸を据える」という言葉があります。
このことから、「お灸はとても熱いもの、痛いもの」という先入観が生まれますが、そんなことはありません!
最近では美容や健康の一環として、自分でお灸をするセルフ灸も流行りつつあります。
この記事では、
・お灸の効果
・熱いか、熱くないか
・痕(あと)は残るのか
など、皆さんが気になる部分を解説していきます。
興味のある方必見です!!(^_-)-☆
目次
- ○ お灸の効果・副作用
- ・効果①自律神経の調整
- ・効果② 炎症効果
- ・副作用「灸あたり」
- ○ 灸師の使う道具・技術
- ・灸師の道具
- ・灸師の技術
- ○ まとめ
お灸の効果・副作用
まず、お灸は熱いか?熱くないか?にお答えすると、基本は「あったかい」です。
ただし、お灸の場合やり方が多様なので、中には熱いものもあります。
「熱い!!」というよりも「チクっとする」感覚の方が強いです。
また、副作用の症状もありますので、そちらも注意が必要です。
「お灸」とは、主にヨモギを材料とする艾(モグサ)を用います。
それを皮膚にのせ、火をつけて熱刺激を加えることで、身体のバランスを調整し、自然治癒力を高め、身体の機能・状態をより良いものにします。
お灸は、もちろん東洋医学の側面があるため、いわゆる「気」の話や、ツボ(経穴)の話も関係していますが、この話はとても分かりづらいので、ここでは割愛します。
鍼灸をするのは一般に「鍼灸師」と呼ばれますが、実際には二つの国家資格をもつ、「鍼師」・「灸師」のことです。
鍼は、鍼師が鍼を使って皮下に刺激を加え、灸は灸師がお灸を据えて体に熱刺激を加えます。
この資格について気になる方は別の記事を参考にしてください!
効果①自律神経の調整
自律神経とは、文字通り「自律」する神経で、身体の状態をコントロールする神経です。
簡単に説明すると、興奮=交感神経、リラックス=副交感神経です。
自律神経は血管や内臓、ホルモンの分泌にも関係しています。
つまり、自律神経の乱れが原因で起きる下記のような症状に効果があります。
・頭痛 ・下痢、便秘 ・食欲不振 ・血圧の異常 ・冷え性 ・更年期障害 ・不眠症 ・吐き気 ・胸やけ ・汗かき ・生理不順 ・ED ・動機息切れ 等々(書ききれない・・・)
自律神経が原因で起きる症状は意外にも多いのです。
鍼灸は「体性ー内臓反射」という反射機能を利用して、自律神経を調節します。
詳しい話は解剖・生理学の話になるので省きますが、簡単に言うと、
・四肢末端の刺激 → 副交感神経を高める
・体幹部の刺激 → 交感神経を高める です。
効果② 炎症効果
熱刺激を加えると、皮膚表面には軽度の炎症が起きます。すると
身体はそこを治そうとします。
するとそこには血液が集まります。
灸師は体の状態を見極め、適した熱刺激を生体に加え、身体の自然治癒力をコントロールします。
熱刺激による炎症の効果は次の通りです。
・誘導作用:血流が悪い所には刺激で血液を集め、充血したところには離れたところを刺激して、充血した血液を移動させる。
・転調作用:アレルギー体質などを刺激によって改善させる
・防御・免疫作用:免疫力を高める
・消炎作用:血流の改善より、白血球や血小板を集め、炎症を抑える
・代謝の向上:熱刺激による代謝の亢進
・増血作用:血管の拡張により、血液が増加
・止血作用:血が固まるまでの時間が短縮
・強心作用:心臓や血管などの循環器系の機能が亢進
副作用「灸あたり」
初めての方、神経質な方、お灸に対して不安や恐怖心がある方、お灸による刺激が過剰だった場合、「灸あたり」をたまに起こすことがあります。
「灸あたり」とは、施術直後やその翌日から、疲労感やだるさ、脱力感、まれに頭痛やめまい、食欲不振、悪寒、発熱、吐き気などが見られることがあります。
安静を保ち、少し眠るようにすると改善されます。
そのほかの副作用として、水泡の形成や、お灸をした部分の化膿を起こす可能性があります。
灸師の使う道具・技術
お灸の効果についてわかりましたか?
「炎症とか、熱いとか無理(*_*)」という人も多いかと思います。
ですが、お灸は自分でもできますし、大きな火傷を起こすことも滅多にありません。
先ほど副作用について書きましたが、灸師はお灸の扱いのプロですので、熱さをきちんとコントロールしています。
なぜそのようなことが可能なのでしょうか?
その秘密は「道具」と「技術」にあります。
次の項からはその秘密に迫っていきます(^_-)-☆
灸師の道具
灸師の使う道具
①艾(モグサ)
艾はキク科の多年草であるヨモギが原料です。ヨモギからいくつもの精製過程を経て艾となります。
灸師が主に使う艾は良質な艾です。
良質艾の特徴は、
・雑物が少なく、乾燥している
・古く、香りが芳香、色は淡く黄色、手触りは柔らかく、繊維は密
・点火が簡単で燃焼温度が比較的低温
・熱感は温和で、燃焼時間が短いわりに深部まで熱が伝わります。
この艾を円錐状にひねったものを「艾炷(ガイシュ)」といい、灸師はこの艾炷を皮膚にのせ、火のついた線香で点火します。
②線香
③棒灸
直径1.5~2cm、長さ10~15cmほどの棒状にした艾を使います。
艾を幹部から距離を離して燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与えます。
直接皮膚に触れるわけではないので、火傷の心配はありません。
主に皮膚病や関節炎に用います。
その他お灸の種類によってはショウガや味噌を使ったりする「隔物灸」というものもあります。
灸師の技術
灸師は、艾を円錐状にひねった「艾炷(ガイシュ)」に線香で火をつけ、皮膚表面に温熱刺激を加えます。
艾炷(ガイシュ)はひねる硬さによって燃焼の熱量が変わります。
硬くひねると熱量が上がり、柔らかくひねると温和になります。
また、大きさが大きければ熱量は大きく、大きさが小さくなれば熱量は小さくなります。
さらに、皮膚との接地面積を小さく、なるべく一点にすることで熱量は小さくなります。
艾炷(ガイシュ)をすべて燃やし尽くす「透熱灸」を行う際は、いくつかの温熱刺激を緩和する手法がとられます。
・燃えている艾の周りの皮膚面を指の先端で圧迫する
・燃えている艾に竹筒をかぶせ、周囲を圧迫する
・連続してやる際、燃焼後の灰を除去せず、その上に重ねて施灸する
また、空気量を調節し、艾炷(ガイシュ)を燃やし尽くさないようにすることで温熱刺激をコントロールする方法もあります。
まとめ
いかがでしたか?
お灸による身体への効果はかなり多いです。
「灸当たり」や、水泡などを起こす可能性も決して無いとは言い切れませんが、そうさせないための技術・手法はかなりあり、灸師は熱量をコントロールしてお灸をしています。
ですので、お灸は決して熱さで強いやけどをさせるものではなく、ニュアンスとして「熱いかも?」「チクっとしたな」「温かくて気持ちが良い」といった感覚です。
「いきなり本格的なお灸は怖い」という方は、セルフケアでも使える「台座灸」というのが市販でも購入できますので、まずはそちらを試してみるのが良いかと思います!(^_-)-☆
最近では冷え性対策はもちろん、不妊症の方のセルフケアとしても注目されていますので、ぜひ一度試してみる価値はあるかと思います!!