骨端症【まとめ11選】
皆さんは幼いころに踵(かかと)が痛くなった経験はありますか?
当院にも踵が痛くなって来られる子供たちがいます。
自分のお子さんはどうですか?
いわゆる成長痛かと思われがちですが、もしかしたら「骨端症」かもしれませんよ!!
今回はそんな成長痛と間違われやすい骨端症についてなるべく難しい言葉は使わずに解説していきます。
特に成長痛でお悩みのお子さんや、最近歩き方が気になるお子さんがいる方は必見ですよ!(^_-)-☆
目次
- ○ 骨端症とは
- ・骨端症①オズグッド・シュラッター病
- ・骨端症②セーバー病・シーヴァー病
- ・骨端症③ケーラー病(第1ケーラー病)
- ・骨端症④フライバーグ病(第2ケーラー病)
- ・骨端症⑤シェンディングラーセン・ヨハンソン病
- ・骨端症⑥ペルテス病
- ・骨端症⑦パンナー病
- ・骨端症⑧プライザー病
- ・骨端症⑨キーンベック病
- ・骨端症⑩坐骨結節骨端症
- ・骨端症⑪離断性骨軟骨炎
- ○ まとめ
骨端症とは
骨端とは、文字通り骨の端です。この骨端には骨を作るための核があり、これを骨端核といいます。
この骨端核が何らかの原因で血行不良(阻血)を起こして周囲の組織も壊死していきます。
これをまとめると、
骨端症とは、「骨端核を中心とした阻血性壊死」といえます。
これだけ聞くと「壊死とかヤバいじゃん・・・」と不安に思われる方も多いと思いますが、大丈夫です。
時間の経過とともにきちんと再生・修復されますので、重篤な状態にはなりませんのでご安心ください。
それでは、骨端症にはどのようなものがあるのでしょうか?
骨端症①オズグッド・シュラッター病
膝の下、脛の骨の上の部分にある場所「脛骨粗面部」に起きる骨端症。
10代前半のスポーツ活動している男児に多い。
太ももの前の筋肉、大腿四頭筋の収縮によって、繰り返し引っ張られることで発生すると考えられています。
ランニングやサッカーなどの運動時に痛みが出たり、脛骨粗面部に押しての痛みがあります。
慢性化しやすく、徐々に脛骨粗面部の骨の隆起が見られてきます。
18歳ごろには症状がなくなりますが、隆起した骨がそのまま残ることもあります。
その場合、例えば「正座をすると当たって痛い」などの症状が出ることもあります。
対処法は、基本的には運動前の太ももの前の十分なストレッチと、運動後のアイシングです。
運動する際にはテーピングも大切です。
症状が強い時には運動は休んだ方が良いでしょう。
骨端症②セーバー病・シーヴァー病
踵に起きる骨端症。
10歳前後のスポーツ活動をしている男子に多いです。
踵の骨のアキレス腱が付着している部分に、ランニングやサッカー、ジャンプ種目、剣道や空手などの運動時の痛みや、押しての痛みが見られます。
対処法は、運動前のアキレス腱の十分なストレッチや、運動後のアイシングです。
また、踵が高い靴を履いてアキレス腱に引っ張られるのを軽減する方法もあります。
また、運動する際にはふくらはぎやアキレス腱、踵のテーピングも大切です。
手術が必要になることはないようです。
骨端症③ケーラー病(第1ケーラー病)
足の土踏まずの部分にある骨、舟状骨に起こる骨端症。
5~6歳(3~7歳)頃の男子に多いです。
実際には土踏まずではなく、足の甲側に痛みを訴えます。
舟状骨は足のアーチを作るうえで大切な骨であるため、衝撃や体重を緩和する際にアーチのてっぺんである舟状骨に負担がかかりやすいのです。
対処法としては、ひとまず運動を中止して、足底版(インソール)を土踏まずの部分に当て、舟状骨への負担を減らすことが大切です。
骨端症④フライバーグ病(第2ケーラー病)
足の人差し指の付け根(足の第2中足骨頭)に起こる骨端症。
10歳代の女性に多いです。
指が足の甲を向いて指が浮く、いわゆる浮指によって、圧迫の負担がかかり軟骨の損傷をおこして発症するとされています。
対処法は、運動を中止し、浮指防止のテーピングやサポーターを付けます。
痛みや軟骨の損傷が激しい際には、手術も視野に入ります。
骨端症⑤シェンディングラーセン・ヨハンソン病
なかなかに長い名前ですが、最初に説明したオズグッド・シュラッター病がお皿の骨(膝蓋骨)の下で起きた骨端症です。
10~12歳の男子に多いです。
症状は運動時の痛みと、腫れ、押しての痛みがお皿の骨の下に出ます。
対処法は、運動を中止・制限すれば徐々に良くなっていきます。
骨端症⑥ペルテス病
特に注意を要する骨端症です。
太ももの骨(大腿骨)の頭、股関節を作る大腿骨頭に起こる骨端症です。
3~12歳、さらに言うと4~9歳、一番多いのは6~7歳の男子に多いです。
大体片側で発症しますが、両方で発症する場合もあります。
およそ2万人に一人に起こります。
原因は不明です。大腿骨頭の血行不良による壊死ですが、なぜ起きるかはわかっていません。
特に怪我もなく、股関節の痛みや、太もも、膝などの痛みを訴えて、痛いのをかばうような歩き方をしていた場合は、要注意です。股関節の痛みがなく、太ももや膝の痛みだけを訴える場合もあります。
さらに、仰向けで寝かせて、M字開脚が痛みのためにほとんどできなくなります。
もし、以上の症状がお子さんに見られた場合は、すぐに整形外科を受診してください。
この病気は二次性に股関節症を起こす可能性があります。
お子さんの状態を判断して、場合によっては手術になる可能性もあります。
骨端症⑦パンナー病
肘の外側(上腕骨小頭)に起こる骨端症です。
5~10歳の男子に起こります。
運動や怪我などが無くても発症することがあります。
肘関節の痛みと、伸ばすことができないなどの症状が出ます。
数か月で自然治癒し、後遺症はほとんどありません。
骨端症⑧プライザー病
ケーラー病は足の舟状骨に起こる骨端症ですが、こちらは手の舟状骨に起こる骨端症です。
手の舟状骨は簡単に言うと、手の脈をとるときに指を当てる場所の手首のところに最初にさわれる骨です。
非常に稀で、原因は不明です。基本は固定やサポーターなどをつける保存療法になるかと思いますが、症状がひどい場合は手術になることもあります。
変形性の関節症を起こす可能性があります。
骨端症⑨キーンベック病
上で説明したプライザー病のお隣の骨、月状骨で起こる骨端症です。
月状骨軟化症とも言います。
20代から30代の男性に多いです。
若いと、手をよく使うスポーツをする人に、中高年では職業で手をよく使う人に多いです。
原因は不明。
動かしての痛みや、可動域の制限、握力の低下が見られます。
プライザー病同様、手関節内の骨でおこるため、変形性の関節症を起こす可能性があります。
骨端症⑩坐骨結節骨端症
椅子に座った際に当たるおしりの骨(坐骨結節)に起こる骨端症です。
スポーツなどでその部分に痛みが出ますが、安静にすると軽快します。
11歳頃から成人まで幅広く発症します。
運動を中断すれば、軽快。消失します。
骨端症⑪離断性骨軟骨炎
膝関節、肘関節に多く、股関節や足関節でも見られる骨端症です。
壊死した軟骨が離れて、関節の中をちょろちょろ動き回る「関節ネズミ」となることが多いです。
時には関節が動かなくなるロッキングを起こすことがあります。
症状は、運動したときの膝関節の痛みが多いです。
子供だと、夜間の痛みを訴えることもあります。
保存療法では安静や松葉づえなどによる免荷を行いますが、関節ネズミやロッキングのある場合は手術も選択肢に入ります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は単なる成長痛と間違われやすい骨端症についてまとめました。
以外に多かったと思います。
基本は運動を中止して安静を保つことが大切です!!
痛みがあまりひかない、痛みの訴えが強いような場合は、接骨院や整形外科の受診をすすめます。
骨端症の確定診断には画像による検査が必要なので、当院では必要な場合は整形外科への受診をすすめます。
特に変形性の関節症を起こしかねない骨端症には注意してください。( `ー´)ノ
骨端症と間違われやすいものに「疲労骨折」がありますので下記のリンクも参考にしてください!
なお、今回の記事は
医学書院出版の第12版 標準整形外科学を参考にしております。