内臓の痛みと筋肉の痛みの違い
皆さんは背中や腰が痛くなった時に「これって内臓の痛みだったらどうしよう?」と不安に思ったことはありませんか?
当院でも「筋肉を痛めました」といって来院されて、実は内臓の痛みや内科の病気の疑いがあり、紹介状を書くこともあります。
内臓の痛みか、筋肉の痛みか、はたまた関節か・・・
自己判断は禁物
ですので、必ず医療機関を受診
していただきたいです。
あくまで不安の解消と、内科か整形外科・接骨院かの判断材料になればと思いこの記事を書きます。
もう一度言いますが、絶対に自己判断はしないでください!!
それでは解説していきます!!(^_-)-☆
目次
- ○ 内臓の痛み
- ・痛みの原因
- ・痛みの特徴
- ・「関連痛」/「筋性防御」
- ・「ヘッド帯」/「マッケンジー帯」
- ・「自律系反射」
- ○ 筋肉の痛み
- ・痛みの原因
- ・痛みの特徴
- ○ 最後に
内臓の痛み
【特徴まとめ】
・内臓の痛みの原因は
①内圧の上昇(虚血)
②臓器の膜が引っ張られる
③臓器やその周囲の炎症が原因で起こる。
・本人は痛みの原因が思いつかないことが多い。
・痛みは持続性があり、比較的広範囲である。
・体勢によって痛みが格段に軽くなるようなことがない。
・「自律神経反射」が出現することがある。
(「関連痛」・「筋性防御」・「ヘッド帯(知覚過敏帯)」・「マッケンジー帯」・「自律系反射」)
・炎症が大きいと「腹膜刺激症状」が出現することがある。
痛みの原因
内臓の痛みは、その原因をはっきり自分で特定することは難しいです。
もちろん、明らかに腐っているものを食べたりしたら想像は容易です。
しかし、例えば突然お腹が痛くなった時、痛みの原因が腫瘍なのか、ストレスなのか、冷えなのか、食べ合わせなのか、自分で特定することは困難ですよね?
痛みの根本的な原因は様々あるにしろ、
内臓の痛みを引き起こす原因は下の3つです。
①内圧の上昇
②臓器の膜が引っ張られる
③臓器やその周囲の炎症が原因で起こる。
痛みの特徴
内臓の痛みは一般的には持続性があって、うずくような、深く絞られているような痛みを感じます。(ただし、尿管結石や胆石など、かなり激しい痛みを伴うものもあります)
また、内臓の痛みは、痛みをどこで起こしているのか場所がわかりづらいです。
指一本でここが痛いとピンポイントで指すことはできず、手の平でなでるような範囲です。
痛みを訴えた時に、そこを指で指すのか、手の平で示すのかも大事にポイントとなります。
後ほど解説しますが、関節や筋肉の痛みは、その関節を動かしたり、筋肉を使ったりしなければ痛みはほとんど出ませんので、体勢次第で痛みが出なくなることもあります。
ですが、内臓は自分の意志で動かさないことはできないため、痛みは基本どんな体勢でも痛いです。
腹膜に炎症が広がったものは、痛みの範囲がさらに広く、発熱を伴うこともあります。
「関連痛」/「筋性防御」
内臓は自分の意志で動かすことはできず、自律神経で動くため、内臓の痛みと一緒に、自律神経の反射を起こします。
「関連痛」:内臓に疾患がある場合、内臓から離れた特定の体表に感覚過敏や痛みを起こすことがあります。例えば、心臓の痛みが左肩の痛みや背中の痛みとして出ることがあります。
もっと身近だと、かき氷やアイスを食べて頭が痛くなるのも関連痛です。
これは「脳の勘違い」によるもので、内臓の痛みのルートと、皮膚や筋肉の痛みのルートが同じところを通るために起こる現象です。
これが内臓の痛みか、筋肉の痛みか判断がつかなくなる原因とも言えます。
・首 → 肺
・右肩 → 肝臓・胆嚢
・肩甲骨の間 → 心臓・胃
・右の肩甲骨の下 → 肝臓・胆嚢
・左胸 → 心臓
・左腕の小指側(内側) → 心臓
・みぞおち → 心臓、食道、肝臓・胆嚢、胃、膵臓、虫垂、十二指腸
・みぞおちの右(右季肋部) → 肝臓・胆嚢、腎臓、尿管
・みぞおちの左(左季肋部) → 脾臓・腎臓・尿管
・下腹部 → 膀胱、子宮
・右下腹部 → 虫垂、大腸、卵巣、腎臓、尿管
・左下腹部 → 大腸、卵巣、腎臓、尿管
・鼠径部 → 尿管、腎臓
・腰 → 腎臓、尿管
・おしり → 膀胱
関連痛が起きると、体表の筋肉は反射的に持続的に収縮します。これを「筋性防御」といいます。
文字通り、筋肉を使って内臓を守ろうとするわけですね!
「ヘッド帯」/「マッケンジー帯」
※「ヘッド帯」/「マッケンジー帯」
内臓に疾患がある場合、その臓器に対応する特定の皮膚の場所に知覚過敏帯が現れます。これを「ヘッド帯」といい、筋肉などの深い部分が過敏になるものを「マッケンジー帯」と呼びます。
Grant, John Charles Boileau / Public domain
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Grant_1962_663.png?uselang=ja
上の図をご覧ください。
各臓器のヘッド帯は下記のとおりです。
①心臓:左C3-4,T2-T8
②肺:C3-C4,T2-T9
③胃:T6-T12
④肝臓:右C3-C4,T7-T10
⑤胆嚢:右T7-T11
⑥小腸:T9-T12
⑦腎臓・尿管:T12-L1
⑧子宮:T10-L1
⑨前立腺:T10-T12,S1-S3
関連痛の出現にも関係しています。
「自律系反射」
「自律系反射」
自律神経のうち、交感神経が興奮するため、
・汗腺反射:汗が出る
・立毛筋反射:鳥肌が立つ
・皮脂腺反射:皮脂が出る
・皮膚血管反射:皮膚の冷えやほてり
・悪心・嘔吐
などの現象が起こることがあります。
筋肉の痛み
【特徴まとめ】
・筋肉の痛みの原因は神経性の痛みや病気を除いて、
①過度の筋緊張や直接的な負荷などによる急性の怪我
②軽度の負担が積み重なって起こる疲労性の損傷
③筋肉の血行障害 が原因。
・本人は痛みの原因が思いつくが多い。
・痛みは動作時の痛みや真澄寺の痛みが強く、範囲は比較的狭い。
・体表に熱感や発赤、出血、陥凹が見られることがある。
・筋肉を使わない、あるいは固定などで痛みが格段に軽くなる。
・程度が激しいとしばしば悪心や嘔吐などの自律神経反射を伴う。
痛みの原因
筋肉の痛みの原因は神経性の痛みや病気を除いて、
①過度の筋緊張や直接的な負荷などによる急性の怪我
②軽度の負担が積み重なって起こる疲労性の損傷
③筋肉の血行障害
が原因です。
①直接力が加わって筋肉を痛めた場合、筋肉がその下にある骨との間に挟まれて損傷を起こす「筋挫傷」を起こします。負傷個所には痛みや腫れ、出血が強く出ます。
過剰に伸ばされて筋肉を痛めた場合、筋肉の表層部や筋肉と腱の移行部のあたりを痛める「肉離れ」を起こします。負傷個所には痛みや出血のほかに陥凹が見られます。
②仕事や運動などで特定の筋肉を使いすぎることで、筋肉が微小な損傷を起こします。
③デスクワークなどで同一の姿勢を長時間行うと、筋肉が血行不良を起こします。すると、局所が酸欠を起こすので、細胞が壊れ、徐々に痛みを感じてきます。
以上の点から、本人は痛みの原因が思いつくことが多いです。
痛みの特徴
筋肉の深さや負傷程度にもよりますが、痛みはその筋肉を使ったときや、伸ばされた時が痛いです。
例えば、力こぶの筋肉である上腕二頭筋を痛めたとしましょう。この場合、自分で力こぶを作ると痛いですが、誰かに肘を曲げてもらうと痛みはほとんどありません。
もしこの場合に痛みが出た場合は、関節を痛めている可能性が高いですね!
そのため、基本的には動かさず、固定や安静を保てば痛みはほとんど出ません。
また、筋肉は一度に広範囲を損傷することはほとんどないため、痛みの範囲も狭いです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
内臓の痛みと筋肉の痛みの違いについてわかりましたか?
もし内臓の痛みの疑いがあるのであれば、なるべく早く病院を受診しましょう!
筋肉の痛みであれば、程度にもよりますが、お近くの接骨院か整形外科を受診しましょう。
「整体院は?」と思う方は、下のリンクを参考にしてください('ω')ノ
筋肉の急性の怪我であれば接骨院、慢性的であれば鍼灸も効果的です。
こちらも下記のリンクを参考にしてください!