それ「肘内障」かもしれません【幼小児の肘の痛み】
皆さんは「肘内障」について知っていますか?
お父さん、お母さんがとっさに子供の腕を引っ張った時に、子供が泣き出してしまって腕を動かさないような場合は、まずは「肘内障」を疑いましょう。
肘内障を起こすことはないにしても、「子供の腕を引く」という動作は、日常生活の中で多々見られるものですので、「肘内障」について知っておいて損はないと思われます!
この記事では
・「肘内障」とは
・「肘内障」を疑った際の対処方法
・「肘内障」と間違われやすい疾患
などについて解説していきます!
幼小児期のお子さんをお持ちの方はぜひ最後までご覧ください!(^_-)-☆
目次
肘内障とは
幼小児の肘の怪我といえば真っ先に考え付くのは「肘内障」です。
ここでは、そもそも「肘内障」とはどのようなものなのか解説していきます。
・特徴
・原因(起こり方)
・症状
・対処法(どこに行くべきか)
・治療法
特徴
上のイラストをご覧ください。
肘内障とは、「輪状靭帯」の下を「橈骨頭」がくぐり抜け、完全には脱臼していない不全脱臼(亜脱臼)を起こした状態です。
「えっ?脱臼なの?」と思われる方がいるかと思いますが、脱臼なのです。
一般的には、骨折は子供と老人に多く、脱臼は成人に多いのですが、肘内障は幼小児に良く起こる不全脱臼なのです!
肘内障が良く起こる年齢は、2~6歳(2~4歳)です。ごくまれに、小学生や中学生で起こることもあります。
親が子供の手を引くことでよく起こるため、「肘引っ張り症候群」とも呼ばれることがあります。
原因(起こり方)
肘を「伸ばす」というより、突然「引っ張る」ことで輪状靭帯の下を橈骨頭がくぐり抜け、発症します。
「突然腕を引っ張らないように気を付けていれば大丈夫なんでしょ?」と思われがちですが、それでも肘内障は発生します。
例えば、子供が急に道路に飛び出しそうになったらどうしますか?子供が転びそうになったらどうしますか?ゆっくり抱っこするなんて不可能ですよね。そういったときには、意識せずにとっさに腕を引いてしまうものなのです。
また、腕を誰かが引っ張ることなしにも発症する場合があります。寝返りを打ったり、遊んだりしていた際に、腕を体幹の下にして転がったりした際に、自分の重みで発生する場合もあります。
幼小児期は全身の関節が緩く、橈骨頭自体もほとんどが軟骨であるため、起こりやすいと考えられています。
症状
不全脱臼ではありますが、意外にも肘の腫れや発赤はありません。
また、痛めた側の肘関節の外側(手のひらを天井に向けた際の親指側)を痛がります。
動かすと痛いため、肩や肘など、腕全体を動かさなくなります。そのため、肩の脱臼を疑うご両親もいます。
もしも肘の外側に腫れがあるような場合には、骨端線離開(骨折)や、軟骨の損傷の疑いがあります。
また、腕を動かしたがらないのに腕を痛がらない場合は、鎖骨を骨折している場合があります。こうした場合には、脇に手を入れて抱きかかえようとすると痛がり、ひどく泣きます。
骨折の疑いがあるかどうかはは下のリンクを参考にしてみてください。
対処法(どこに行くべきか)
肘内障の整復自体は容易なので、腕をとっさに引っぱってしまって痛めた場合など、応急的な処置は接骨院で十分対応可能です。
転倒して肘に腫れがひどく見られる場合や、出血がある場合は、整形外科を受診した方が良いかと思います。接骨院に最初にかかった場合も、外科処置やさらに詳しい検査が万が一必要になった場合には、整形外科に紹介する場合もあります。
接骨院と整形外科、接骨院と整体院の違いについて不安方は下のリンクを参考にしてください('ω')ノ
治療法
肘内障でも、完全に脱臼したものや、輪状靭帯が挟まってしまったものは整復が困難となることもあります。整復が完了すると、患児は痛めた方の腕をすぐに動かせるようになります。固定も特に必要なく、必要であれば湿布を貼ったり、三角巾で提肘をする程度で問題はありません。
しかし、肘内障は再発を繰り返す可能性があるので注意が必要ですが、年齢が上になるにつれて再発する確率はどんどん下がりますので安心してください。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は幼小児の肘に多いけがである「肘内障」について解説しました。
【まとめ】
患児は腕を動かせずにかなり泣きますから、初めてのご両親は動揺することがあると思います。
ご両親の不安感や心配をお子さんは敏感にキャッチしてますます泣きますので、慌てない冷静な対処が必要になります。
その際はぜひ一度当院へお問い合わせください。