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足のアーチのトラブル徹底解説【後編】

ランニング女性 ふくらはぎ
皆さんこんにちは!「足のアーチのトラブル徹底解説【前編】」では足のアーチとその仕組みについて解説しました。
【後編】では、実査にアーチが崩れてしまった足による支障や、ケアの仕方などについて解説していきます!(^_-)-☆

【前編】を読んでいない方はざっくりでもいいので目を通しておくと【後半】もわかりやすいと思います!

こちらからどうぞ:足のアーチのトラブル徹底解説【前編】

目次

偏平足(回内足)

偏平足 回内足 イラスト

上のイラストは右足を表しています。

このように、踵が外側を向いた状態を「回内足」といい、その結果土踏まずが無くなった状態を「偏平足」と呼びます。

一言で偏平足といっても様々です。
大きく3つに分けると、
①先天性扁平足
②小児期扁平足/思春期偏平足
③成人期扁平足
があります。

先天性偏平足

寝る赤ちゃん

比較的稀な疾患です。
存在する場合は生後後天的に起こる偏平足よりも重度です。

内側縦アーチを作る距骨(キョコツ)が前下方へ倒れこんだ形をしてしまい、足の裏全体は“船の底”のような逆アーチのような形をとります。

生後は足部に柔軟性があるため、矯正が可能で矯正ギプス固定をすれば改善すると思われますが、実際にはそういった保存治療は効果が少ないことが多いようです。

変形の矯正には手術が必要になることも多いです。

小児期偏平足

子供 踵

まず、赤ん坊の時期は偏平足が「正常」です。
そもそもアーチを作る骨が軟骨ですし、筋肉や靭帯も未熟です。
立つことをしないわけですから、当然足のアーチもありませんので、大丈夫です。

成長とともに骨、筋肉、靭帯が発達し、アーチが形成されてきます。

歩き始めの乳幼児期の偏平足は、家族が偏平足に気づいて病院を受診する場合が多いです。
また、ふくらはぎの痛みを訴えて病院を受診する場合もあります。

小児期偏平足の特徴は、土踏まずが、立つと無くなり、横になると現れます。
ただ、この時期の土踏まずには多くの脂肪があるため、なかなかわかりづらいです。

成長に伴い、アーチは形成されていきますが、高度な偏平足(距踵角50~60°以上)の場合には、インソールやタオルギャザーなどで足にある筋肉の強化を図る必要があります。

小児期の偏平足が思春期にまで残った場合、思春期扁平足となり、様々な足のトラブルが出てくる原因となります。

成人期扁平足

足の悩み 女性

成人期扁平足の原因は主に下の3つです。
①先天性/小児期/思春期偏平足の延長
②外傷
③内科的要因
④普段の生活

①先天性/小児期/思春期偏平足の延長


上で説明した先天性/小児期/思春期偏平足を放置した結果、成人になっても扁平足が改善されていない状態です。保存治療が困難な場合には手術療法も適応になります。

②外傷


足部の骨折や捻挫、筋肉や腱の断裂を起こした後、扁平足になります。

アキレス腱の断裂や後脛骨筋の断裂、後脛骨筋の付着部で、かつ内側縦アーチの頂点である舟状骨の骨折などは足底腱膜の機能を落とし、アーチの低下を起こします。

重度の偏平足でなければ保存療法やリハビリで十分改善が見込めますが、重度の偏平足で痛みを伴う場合は、手術の可能性もあります。

③内科的要因


内科的要因で扁平足を起こす代表的な疾患は、関節リウマチです。
関節リウマチによる偏平足の場合、担当医師の指導の下治療が必要となります。

④普段の生活


成人偏平足のほとんどはこれが原因です。
歩く頻度の減少や運動不足により足の筋力(特に後脛骨筋)の低下により、内側縦アーチを維持できず、そこに肥満などで自分の体重で負担がかかり、痛みを起こします。

このような偏平足を「静力学的偏平足」と呼びます。

成人期偏平足【静力学的扁平足】

足首が痛い男性

最も多くの成人期偏平足【静力学的扁平足】の原因は「後脛骨筋(腱)の機能不全症」です。

後脛骨筋は、ふくらはぎにある骨(脛骨・腓骨)の間(下腿骨間膜)から起こり、内側縦アーチの頂点である舟状骨に付着し、足を底屈し、内側に返します(回外)。

デスクワークなどで後脛骨筋の機能不全を起こすと、足を内側に返す(回外する)ことができず、足は徐々に回内していきます。徐々に内側縦アーチを維持できなくなり、回内足になり、土踏まずが無くなり、そこに荷重で負担がかかることで痛みが発生します。

【症状】
内くるぶし(内果)の後ろにある後脛骨筋腱に腫れと痛みが出ます。
また、ふくらはぎの痛みを訴えることもあります。
回内が強くなると、外くるぶし(外果)と踵の間で挟み込みが起き、足の外側にも痛みが出ます。

患者に立った状態で両足を揃えてもらい、後方から確認すると、踵より外側に指が多く見えるtoo many toes signが陽性となります。

また、座位(非荷重)と立位(荷重)で舟状骨と床との距離を測り、どれだけ落ち込むのかを見る、Navicular Drop Testをすると、沈み込んだ長さが6~8mmであれば正常ですが、このタイプの偏平足の場合10mm以上沈み込むことが多いです。

【治療法】
インソールやアキレス腱のストレッチ、タオルギャザーなどで足の中の筋肉を強化することが必要になります。重度の偏平足の場合や後脛骨筋腱が断裂した場合は手術が必要になります。

ハイアーチ

足の形

偏平足とは逆に、アーチが急になっている状態です。

先天的に遺伝でハイアーチとなっている方が多いですが、ハイヒールなどの靴で後天的に起こることもあります。

ハイアーチは足底腱膜の柔軟性がなく、アーチが急になって、いわゆる「甲高」の状態となっています。ハイアーチは柔軟性の無い足ともいえるので、疲れやすく、捻挫や足底腱膜炎、疲労骨折、踵骨棘、膝の怪我などのリスクが高まります。

ハイアーチ自体が単独で痛みを起こすことはあまりありませんが、何かしらの症状が出る前にインソールやアキレス腱、足底腱膜のストレッチやタオルギャザーなどで足の筋肉を強化するなどで対処するのが望ましいです。

足底腱膜が拘縮を起こし、ハイアーチが重度な場合には足底腱膜を切る手術や、骨を削り、アーチを矯正することもあります。

浮指も伴って、冒頭で説明した「ウィンドラス機構」(足底腱膜の巻き取り)が過度な場合は浮指の治療も必要となります。

浮指

浮指 イラスト

浮指は上のイラストのように指が浮いている状態のことを刺します。1本だけ浮いている場合もあれば、数本、または全部浮いている場合もあります。裸足で直立し、指が浮いているのが確認できれば浮指です。

人間の重心は外くるぶし(外果)の前約5cmを通るため、通常、足の母趾は地面を“押す”ように働き、他の指は地面を“つかむ”ように働きます。

浮指になっているとこれができないわけですから、重心の乱れから身体の様々な場所で重心の補正が行われ、膝や股関節、腰、頚などの不調の原因となります。

浮指の原因は主に「靴」です。成長に合わない靴を履いていたりすると、浮指は早いと小学生から始まってしまいます。また、畳離れで室内でスリッパを履いたり、運動量が減ったり、指を使うことが少なくなり、足部の筋力が落ちることでも浮指になります。

成人の7割~8割がこの浮指ともいわれており、いかに我々現代人が指を使っていないかがわかります。

「ウィンドラス機構」(足底腱膜の巻き取り)が浮指によって過度になっており、ハイアーチや足底腱膜炎を合併することが多いです。

自宅では最適な靴を履くことや、タオルギャザーや足の指でグーチョキパーをしたりといった指を使う運動をします。足底腱膜(土踏まず)に痛みを感じる場合はアイスマッサージをしたりします。インソールを用いる方法もあります。

歩行の最後に「指を使って蹴り出す」イメージを持つだけでも浮指は改善されます。

開帳足

開帳足 イメージ

イラストを見てわかる通り、開帳足は横アーチが低下した状態です。踵の高い靴を履くと横アーチでの荷重が増え、横アーチの低下を招きます。

アーチの低下は衝撃や荷重を緩和できないため、足底腱膜炎を起こしたり、足関節や膝などに負担がかかります。

また、魚の目やタコなどが荷重される場所にできやすくなります。

開帳足は外反母趾や偏平足を合併することが多く、総合的な足のケアが必要になります。

浮指と同じく、自宅では最適な靴を履くことや、タオルギャザーや足の指でグーチョキパーをしたりといった指を使う運動をします。足底腱膜炎や踵骨棘を起こした場合は、アイスマッサージを行うのも良いです。インソールを用いる方法が一般的です。

外反母趾/内反小趾

外反母趾 イラスト

「外反母趾」とは、足の母趾が小趾側へ外反している状態を言います。しばしば小趾が母趾側へ内反している「内反小趾」の状態を合併しています。

女性:男性=10:1で起こり、10歳代と40歳代に多いです。近年は若年化しています。先端が細い靴や、偏平足、開帳足なども外反母趾と合併していることが多いです。

母趾の変形と痛みを起こし、内側に突出した部分は靴により圧迫されて「有痛性腱膜瘤(バニオン)」を形成します。バニオンは徐々に肥厚し、やがて石灰化を起こします。

外反母趾で注意したいのは、変形の程度と痛みの程度が比例するとは限らないということです。
痛みの程度があまりに強い場合は、変形によって神経の絞扼が原因となっていることがあります。

重症度は外反している母趾の角度が20°~30°が軽症、30°~40°が中等度、40°以上を重症とします。

軽度であれば装具やサポーターで矯正がある程度は可能ですが、中等度以上になると痛みは抑えられても変形の矯正は困難です。そのため、軽症で手術を選択する場合もあります。

痛風でよく痛みの出る場所と同じなので、注意が必要です。痛風については下のリンクを参考にしてください。

その他指の変形

中高年の女性の足

①強剛母趾


母趾に起きる変形性関節症で、中高年に多いです。
長年親指の付け根に負担がかかると、やがて親指付け根の甲側に骨棘はでき、痛みを起こします。
軽症であれば装具や靴で痛みの軽減はできますが、程度が強いものは手術の適用となります。

外反母趾や痛風と間違われやすいので注意が必要です。

②ハンマートゥ・槌指


指の手前の関節が地面側に強く曲がっているものを「ハンマートゥ」
一番指先の関節が地面側に強く曲がっているものを「槌指」と呼びます。

麻痺をきたした足に生じることがあり、足の中の筋肉が麻痺を起こすことで発症します。

症状が軽ければ足趾のマッサージやストレッチも効果的ですし、足の筋のストレッチやインソールも有効です。基本的には足の内在筋のマヒを起こしているため、原因に合わせた治療も必要になります。

最後に

元気に運動を始めようとする女性

いかがでしたでしょうか?

今回は【前編】と【後編】に分けて足のアーチにについて解説しました!
アーチのトラブル一つだけではなく、いくつものトラブルが複合して起こっていることが多いです。

アーチのトラブルは、いずれも初期段階であれば靴やインソール、タオルギャザーなどのトレーニング、マッサージやストレッチで十分対策ができますが、症状がひどくなると最悪手術になります。

また、アーチの乱れを放っておくと、膝や腰など、身体の様々な場所に不調を起こしますので、なるべく早めの対策が必要になります。

逆に、早めに対策しておけば多くの恩恵がありますので、まずはお気軽にご相談ください。(^_-)-☆

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