「顎が痛い!」もしかして「顎関節症」かも!?分類・症状・治療法・ケアの方法を解説!
「口を開けようとすると顎の周りが痛い!」
「顎がコクコク引っ掛って音が鳴る」
こうした症状でお悩みの方!もしかしてそれ、「顎関節症」かもしれませんよ!
この記事では
・そもそも顎関節症って何?
・どんな症状?
・どんな治療法があるの?
・セルフケアの方法は?
・気を付けることは?
等について解説していきます。
目次
- ○ 顎関節症とは
- ・➀顎関節症Ⅰ型(咀嚼筋障害)
- ・➁顎関節症Ⅱ型(関節包・靭帯障害)
- ・③顎関節症Ⅲ型(顎関節円盤障害/顎関節の軟骨の異常)
- ・➃顎関節症Ⅳ型(変形性顎関節症)
- ・➄顎関節症Ⅴ型(精神的なものによる)
- ○ 普段から気を付けること
顎関節症とは
【顎関節症とは】
顎関節症の方は多く、人口の6割~7割が何らかの症状を持っているとされています。また、女性の方が男性に比べ2倍以上発症しやすいという報告もあります。
日本顎関節学会は、顎関節症を「顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害ないし運動異常を主要症状とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には、咀嚼筋障害、靭帯障害、関節円板障害、そして変形性関節症が含まれている」と定義しています。
何やらややこしいですが、要は「筋肉や靭帯、軟骨、変形などが原因で、顎や噛む筋肉が痛くなったり、口を開ようとしてもと思うように開かなかったり、音が鳴ったりする症状が慢性的にあるもの。」ということです。思い当たる方多いのではないですか?
顎関節症は人によって症状や原因が違うため、その症状・原因別に分類わけされています。
➀顎関節症Ⅰ型(咀嚼筋障害)
顎の関節を動かす際の“筋肉”に問題があるパターン。顎を動かしたり、噛んだりする際に、咀嚼筋(咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋)と呼ばれる筋肉に痛みが出てしまいます。
原因には咬合異常(咬み合わせの不適合)や、ストレスや自律神経の乱れによる歯ぎしり、噛みしめなどが考えられます。
このタイプの顎関節症の方は、“筋肉”に圧痛(押しての痛み)が出ますが、顎の関節(耳の前のあたり)には圧痛が出ず、レントゲンやCT検査などでも顎の関節自体に変形や異常が見られないのが特徴です。
鎮痛剤や筋肉を緩める筋弛緩剤などが医師から勧められる場合もあります。筋肉自体の問題なので、手技療法や鍼治療、電気治療などの物理療法も有効です。咬み合わせの異常がある場合には、再発予防のため、多くの歯科治療においては「スプリント療法」が行われています。
➁顎関節症Ⅱ型(関節包・靭帯障害)
顎を強打してしまったり、顎を過度に開いたり、硬いものを無理に噛んだりすることで、靭帯や関節包(関節を覆う袋)、軟骨を痛めてしまったものです。顎関節症Ⅰ型の筋肉の痛みと異なり、顎の関節自体に圧痛(押しての痛み)が出るのが特徴です。
このタイプの顎関節症はX線やCT、MRI、関節造影などで検査をしますが、基本的には軟骨の転位や顎の骨自体の異常は見られません。また、噛みしめたり、咀嚼をした際に痛みと開きづらさは感じますが、口を大きく開けることは可能です。
抗炎症剤を併用しつつ、顎の関節の安静を保ちます。その後、手技療法や鍼治療、電気治療などの物理療法、スプリント療法が有効です。
③顎関節症Ⅲ型(顎関節円盤障害/顎関節の軟骨の異常)
顎関節症の中で自覚するタイプとして一番多いのがこれです。関節円盤(顎関節の軟骨)が転移してしまったり、線維化、変形などが起こってしまうものです。こうしたことが起こる原因は噛み合わせの異常によるものが多いとされています。
このタイプは大きく2つに分類されます。
カクカク音がするタイプ
口を開閉した際に、下顎の骨が軟骨の厚い部分を乗り越える際に引っ掛かり、音が出ます。⑵カクカク音がしないタイプ
口を開けようとしても、下顎の骨が軟骨の厚い部分を乗り越えることができず、音がなりません。一見こちらの方が良いように思えますが、カクカク音がしていた状態が進行したもので、口を開けることが困難になります。レントゲンやCT、内視鏡検査などで検査が行われます。治療法はこれまでのタイプと同じように保存療法やスプリント療法が行われます。しかし、改善が見られない場合や、軟骨の癒着、変位などの症状が著しく、生活に支障をきたす場合には手術になることもあります。
➃顎関節症Ⅳ型(変形性顎関節症)
軟骨の減少や骨の変形により、口が開きづらくなります。また、顎の関節部分で雑音を感じます。この雑音は顎関節症Ⅲ型で聞こえるコクコクという音ではなく、ジャリジャリ、シャリシャリといった、砂があるような音がします。
この顎関節症のタイプは進行性のため、薬物療法やスプリント療法、理学療法などの保存療法を用いるのが一般的ですが、根本的な治療法とはあまり言えないのが現状です。症状がひどい場合には手術療法が行われることもあります。
➄顎関節症Ⅴ型(精神的なものによる)
精神的なストレスで起きる顎関節症です。顎関節症Ⅰ~Ⅳ型のいずれにも当てはまらず、顎の関節部分に違和感を感じるものの、顎関節以外に様々な症状が現れます心理的ストレスで様々な症状が悪化してしまうことがあります。抗不安薬などで症状が改善するような場合はこのタイプです。このタイプの顎関節症の場合には心理面からのサポート・治療が必要になります。
普段から気を付けること
多くの場合、顎関節症の原因は咬み合わせの不良や、歯ぎしり、噛みしめです。しかし、さらにその根本的な原因は、心理的な要因と長時間の不良姿勢の異常だと私は思います。
【根本原因➀ストレス】
精神的なストレスによって自律神経の交感神経が過剰になると、血管が細くなり血行不良を起こし、筋肉の緊張を起こします。緊張で肩をすくめたり、こぶしを握ったり、全身に力が入ってしまうことは誰しも経験したことがあると思います。これが、歯ぎしり、噛みしめを起こしてしまうのです。首肩こりでこめかみのあたりが締め付けられるように痛くなる筋緊張性頭痛も、咀嚼筋の一つである側頭筋が関与しています。
一度痛みを感じると、痛みはさらに交感神経を興奮させ、周囲の筋肉をさらに緊張させ、血行不良が起こります。このような負の連鎖により、顎関節症は慢性的な経過をとるのです。
【根本原因➁不良姿勢】
また、長時間の不良姿勢も原因の一つです。これには頬杖などの癖も含みます。パソコンやスマホなどの使用で頭を下に向けた状態を続けると、顎の関節や咀嚼筋に負担となります。詳しい仕組みは割愛しますが、関節と筋肉の連動によってこうしたことが起きてしまうのです。
長々と書きましたが、このようにストレスによる交感神経の緊張や、不良姿勢による顎の関節への負担、また、それによる首の筋緊張による咀嚼筋の緊張が、顎関節症を助長しているのは明らかです。
【セルフケア】
以上の事から、自宅でのセルフケアの方法としては、ストレスの緩和や、なるべく下を向かないといった不良姿勢の改善、首の筋緊張をとるような温浴やマッサージなどが効果的です。もちろん、頬骨の周囲や顎周囲の筋緊張をフェイスマッサージなどでほぐすのも大切です。時間が無い場合は、お風呂で髪を洗う際に、こめかみや耳の上の側頭部を入念にマッサージをしたり、洗顔の前後で頬からこめかみにかけてマッサージするだけでも良いです。また、偏った“噛み癖”も意識して、左右均等に噛むようにしましょう。
「顎関節症かも・・・」と思ったら、まずはお近くの専門家の診察を受けましょう。程度の強い咬み合わせの異常は矯正を行うことも必要です。また、顎関節症だと思っていても、実際に検査をしてみたところ、別な疾患が原因で感じていた痛みだった、なんていうこともあります。まずは自己判断せずに、なかなか改善しない症状はきちんと診察してもらい、判断を仰ぐのが大切です。
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