骨折の経過とリハビリ・早く良くなる骨折とは?
この記事では、骨折についての
・おおよその癒合日数
・骨折がどのように治っていくか
・治りが早い骨折・遅い骨折
・近年のリハビリテーションについて
以上の点について解説していきます。
どのように骨折の箇所が治っていくのか、果たして本当に治るのだろうか、リハビリはいつ始めればいいのかなどの不安がある方は、本記事を参考にしてみてください!(^_-)-☆
目次
- ○ 骨折の癒合日数【目安】
- ○ 骨折の治癒経過
- ○ 治りが早い骨折・遅い骨折
- ○ 異常な骨癒合
- ○ リハビリテーション
- ○ 最後に
骨折の癒合日数【目安】
骨癒合にかかる日数は、年齢や環境、治療法、骨折の程度など多数の条件によって、一定となることはありません。しかし、「グルト(Gurlt)」の提唱する骨癒合日数をおおむねの骨癒合日数として考えます。
※ただし、これはあくまで損傷個所が癒合するまでの“目安”の日数であり、本来の機能を取り戻すには、一般的に骨硬化に要した日数の2~3倍ほどの日数が必要となります。
なぜならば、骨折の固定期間が長くなるにつれて、その部位は血行障害を起こし、筋肉は硬くなり(拘縮)、周囲の組織は癒着を起こすためです。
そのため、骨折部の硬化時間をどれだけ短縮させるのかが重要であり、近年の傾向として、固定期間の短縮や早期の運動療法に重点を置くことが多いです。
では、具体的に骨折した個所はどのように修復が進むのでしょうか
骨折の治癒経過
骨折した個所は通常、4つの修復過程を経て治癒していきます。
➀炎症期 ➁仮骨形成期 ➂仮骨硬化期 ➃リモデリング期
人の骨は一生の中で絶え間ない破壊と再生を繰り返しています。これをリモデリングと呼びます。
骨を家に例えると、骨芽細胞=建設を、骨細胞=保守を、破骨細胞=解体を受け持っています。
➀炎症期
骨折によりその部分に出血を起こすと、やがて血腫を形成します。骨折部の出血は大体24時間で止血しますが、この血腫が骨折の端と端を満たします。この部位にやがて血管やコラーゲンができ、その後組織の形成に必要な土台「肉芽組織」となります。この血腫⇒肉芽組織の過程は骨折に限らず、肉離れでも打撲でも、手術後でもこの治癒過程が進みます。この肉芽組織から元々の組織に再生が進みます。そのため、“骨”折の治癒の土台も「肉芽組織」と呼びます。
➁仮骨形成期
骨折後1週間を過ぎると、骨折部の骨膜から骨の建設を担う骨芽細胞が増生し始めます。骨折後3週間ほどから白血球やリンパ球など様々な組織の増生も始まります。
この時期は未だ完璧な骨組織とは言えず、X線で見ても軟骨と区別が困難なため、画像での判断は困難です。
➂仮骨硬化期
仮骨の分量が多いのは骨折後2~3週間以内であるが、4週間を過ぎると骨化がさらに進み炎症反応は消失します。ただし、骨折部が仮骨で結合し、ある程度の運動負荷に耐えられるようになるには、4~12週間ほど要するとされています。
➃リモデリング期
骨折部が盛り上がるように紡錘形に作られた骨性の仮骨は、患部の機能が回復すると破骨細胞により解体・吸収され、骨折部の形態が整う。これを自家矯正と呼びます。自家矯正は若いほど顕著ですが、捻じれた骨折(捻転転移)は自家矯正されません。治りが早い骨折・遅い骨折
骨折部の癒合には整復・固定が必要ですが、この二つの条件だけで常に良くなるとは限りません。骨折の治癒には様々な要因が関係しています。それを下に記します。
異常な骨癒合
異常な骨折の治癒過程をたどってしまった場合。様々な異常が起こり得ます。
➀変形治癒
文字通り、変形して骨癒合した状態です。整復や固定が不十分であった場合に、自家矯正しきれない変形が起こり得ます。特に回旋(捻転)変形は自家矯正されないので注意が必要です。➁遷延治癒
不十分な固定が原因で、骨折の治癒に予測される期間を過ぎてしまう状態です。遅れているだけですので、遅れている原因を取り除ければ再び治癒過程は進みます。➂骨癒合不全
骨折部の骨癒合が止まってしまった状態です。この状態では関節が一つ増えたような状態になり、「偽関節」と呼ばれる状態になります。一般に、骨折後3~4か月経っても癒合しない場合を➁遷延癒合、6~8か月経っても癒合しない場合を➂骨癒合不全となります。しかし、両者を見分けるためには骨シンチグラフィーなどの補助検査が必要になると思います。
リハビリテーション
骨折し、整復・固定をすると患部の安静は保てます。しかし同時に、患肢の動きは制限され、関節が硬くなる関節拘縮や筋肉の萎縮が始まります。脊椎や下肢の骨折は立ち上がることさえ困難になることがあるため、患肢以外も関節拘縮や筋委縮など、骨折患部と同様な症状が起こることがあります。
関節の拘縮や筋肉の萎縮に対しては、予防が最善の方法であるので、近年は骨折のリハビリテーションは負傷後速やかに行うことが望ましいとされています。
かつては固定を行い、固定を外した後に長い期間をかけてリハビリを行うのが普通でしたが、現在ではギプス固定直後から、固定内で筋肉に力を入れたり、早期から機能回復訓練を行います。
具体的には、腕などの上肢の場合には、肩の上げ下げ(ポンピング)を行います。また、足などの下肢の場合には下肢の上げ下げを行うなどし、血行の改善を行います。
特に下肢の骨折の場合は、左右の松葉づえで完全に免荷を行っている場合にも、可能な限り早い段階からの荷重を計画します。例えば、足の裏を地面に設置させるフロアータッチや部分荷重、半荷重など段階的に負荷をかけていきます。
<骨折に対する物理療法:低出力超音波治療とは?>
低出力の超音波(30.0mW/㎠)を骨折部にあて、骨折の治癒を促進する方法です。
1日20分の照射で脛骨や脛の骨の骨折の治癒までの期間が38%短縮したことが知られています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
骨折の治癒にかかる期間には、骨折の状態など様々な要因により個人差があります。
骨折をしてしまうと、これまでの生活とはがらりと変わり、大変な日々が始まります。
何とか早く治したいという一心で、様々なことを試みたい気持ちはわかりますが、必ず担当している専門家の意見を聞いてからにしましょう!
また、骨折は機能の回復まで含めると、長い期間を要します。治癒の経過に伴い施術自体も多様に変化します。担当の専門家と二人三脚での治療が続きますので、日常生活での困難や不安など、自分自身を知ってもらう面でもぜひ話してみてくださいね!
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