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膝の外側の痛みでお悩みの方へ【腸脛靭帯炎・ランナー膝】症状・原因・ケアの方法

マラソン

天気が良い日が続いていて、まさにスポーツの秋ですね!

私の朝の散歩でも、走っている方が増えたように感じます。

ですが、ランナーで多く見られるのが「腸脛靭帯炎」。

「なんだか膝の外側が走ると痛い」
「太ももの外側が張っている」
「膝の外側を押すと痛い」
「最近走り始めたけど、膝の外側に違和感を感じる」
「走りすぎてでる痛み」

今回の記事ではこのようなお悩みのある方を対象に、「腸脛靭帯炎」について解説していきます!

怪我や痛み無く長く運動を続けるために、ぜひ最後までご覧ください(^_-)-☆

目次

腸脛靭帯とは

臀部 腸脛靭帯 筋肉 イラスト

〇腸脛靭帯
最初に言ってしまうと、腸脛靭帯は靭帯ではありません。これについては、まずは「靭帯」と「筋膜」について知る必要があります。

➀靭帯とは

靭帯とは、簡単に言うと「関節を補強するコラーゲンでできた束」です。

関節を補強することで、関節が無理な可動域で動いたり、脱臼を起こしたりするのを防ぐ働きがあります。関節を補強するといっても、ホチキスのように硬いわけではなく、靭帯は若干の弾性を持つので、張力が加わると次第に伸びていきます。伸びた靭帯は補強力が落ちるので、反復する怪我や脱臼を起こす原因にもなります。

➁筋膜とは

筋膜は筋肉単体を包むものではなく、骨や内臓、血管、神経など、身体全体を広い範囲で繋がりをもって包み込み、それぞれが適切な位置になるように支えています。そのため、筋膜は「第2の骨格」とも呼ばれています。

筋膜も靭帯と同じくコラーゲンが主成分ですが、構造の強さに違いがあります。靭帯は構造が密で、筋膜は粗いのです。そのため筋膜の方が軟かいため、他の組織とくっついてしまったり(癒着)、しわが寄っていしまう(コリ)といった弊害もあります。

➂腸脛靭帯は靭帯じゃない!?

臀部 腸脛靭帯 筋肉 イラスト

腸脛靭帯は上のイラストのように、太ももの外側に存在し、最終的には脛(スネ)の骨である脛骨(ケイコツ)に付着します。

勘の良い方はお気づきだと思いますが、腸脛靭帯は靭帯というよりも、筋膜としての側面の方が大きいです。

腸脛靭帯は、太ももにある筋膜である大腿筋膜の外側・中央部が成長と共に肥厚してできたものです。

「じゃあ“靭帯”って名前つけるなや」と思われてしまいがちですが、英語ではきちんと区別されています。靭帯は英語でLigament(リガメント)と言いますが、腸脛靭帯の靭帯は英語でBand(バンド)と明記されています。ここで言うBandは「帯・ひも・ベルト・筋(すじ)」という意味です。

腸脛靭帯は太ももの筋膜の一部が肥厚したものなので、いくつかの組織と関係性があります。腸脛靭帯上部では➀大殿筋、➁大腿筋膜張筋、➂中殿筋の一部といったお尻の筋肉、太ももの前の筋肉である➃大腿四頭筋の外側部にあるう外側広筋、⑤股関節の関節包につながります。下部では筋膜としては⑥長腓骨筋や⑦前脛骨筋とのつながりも一部にあります。

特に腸脛靭帯上部の➀大殿筋、➁大腿筋膜張筋は腸脛靭帯に直に付着するため、その関係性は強く、ランニングなどで片足で接地する際に、身体が傾かないように支える働きをします。

【腸脛靭帯の働き】


腸脛靭帯は➀大殿筋、➁大腿筋膜張筋の働きにより緊張することで、脛骨を外側に向かって回旋させます(外旋)。また、膝関節を伸ばし、直立姿勢の保持を行います。

腸脛靭帯は靭帯ではありませんが、その機能が全くゼロかというと、そうでもありません。というのも、当たり前ですが本質的に筋膜だとしても膜が伸びるのにも限界がありますので、そこで初めて制動作用を発揮します。

簡単に言えば、「筋膜的な繋がりで日常生活やスポーツなどで股関節周囲(とくに臀部)や体幹の力を脚に伝えて力を発揮するだけでなく、肥厚したBand状構造による靭帯としての安定感や補強力としての側面も持つ。」と言えます。


腸脛靭帯炎(ランナー膝)

ランニングで休憩中に膝を押さえる女性

腸脛靭帯について知ったところで、腸脛靭帯の障害である「腸脛靭帯炎」について見ていきましょう。

靭帯の障害といえば捻挫による靭帯損傷ですが、ここまで読んでくださった皆さんならば、腸脛靭帯炎が靭帯損傷とは異なる性質を持つことにお気づきだと思います。

腸脛靭帯炎は股関節や膝関節の捻りなどで起きるものではなく、腸脛靭帯の使い過ぎによって起こる“使い過ぎ証拠群(オーバーユースシンドローム)”の典型的なものです。

ランナーに多く見られることからランナー膝とも呼ばれています。
(※必ずしも腸脛靭帯炎=ランナー膝ではなく、ランナーによく現れる膝周囲の異常を総称する意味での使われ方もありますので注意)

原因

朝、ランニングをする女性

ランニングなどの膝の屈伸運動の繰り返しにより、膝関節の外側にある大腿骨外側部での摩擦が原因で炎症を起こします。

O脚であったり、腸脛靭帯が硬く緊張していたり、膝外側にある大腿骨の外側部が元々突出しているなどの素因もあります。

男性に比較的多く、ランナーの中でも特に底の硬い靴の使用や、下り坂やアスファルトなどの固い地面での走行が原因となります。

症状

膝の痛みで問診を受ける女性

膝関節外側の痛み(運動時痛や押しての痛みなど)

レベル1(軽症) :運動後に痛む
レベル2(中等症):運動中や運動後に痛む
レベル3(重症) :常に痛く、運動できない


※この分類は使い過ぎが原因で起こるものに共通するので、ぜひ覚えておきましょう!

治療法・セルフケア

腸脛靭帯のストレッチをする女性のイラスト

レベル1(軽症) :セルフケアで、上のような運動前後のストレッチと、運動後のアイシングを行います。運動を中止する必要は必ずしもありませんが、いつまでも治らなかったり、症状が悪化する場合には、運動の強度は減らした方が良いでしょう。
レベル2(中等症):余程のことがなければ運動の中止が望ましく、手技療法や理学療法などの施術を行います。
レベル3(重症):運動は中止し、安静に努め、各種療法にて治療を行います。難治性の場合には腸脛靭帯の部分切除や延長術、骨や軟部組織切除などの適応になることもあります。

まとめ

腸脛靭帯炎を含めた使い過ぎ症候群の対策の基本は、考えられる原因・負担を極力減らし、患部をどれだけ安静に保てるかがポイントです!また、再発を防ぐためにもフォームや靴、運動メニュー、日々のケアなどを考え直す必要があります。

膝の外側の痛みと言っても、腸脛靭帯以外にも、外側半月板損傷や外側側副靭帯損傷などもありますので、くれぐれも自己判断はしないようにしてくださいね!

その他の使い過ぎ症候群やランナーに多い障害については、過去の記事をご覧ください!

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